らくだが死んだァ!?

 前のエントリのコメント欄で少し話題になった、落語の「らくだ」という演目の話。

 全体のストーリーは面倒くさいので「らくだ (落語) – Wikipedia」を読んでもらうとして、これのある一部分の話。

 「らくだ」という通り名の男が長屋の自分の家で死んでいて、それをらくだの兄貴分が見つける。兄貴と呼ばれていた手前、葬儀を出してやりたいがバクチで全部盗られてカネがない。どうしようかと思案していると、ちょうどそこに屑屋が通りかかる。呼び止めて家財道具一色を買い上げろと迫るがこの家には買い取るものは何もないという。じゃあ仕方がない、長屋の月番のところに行って香典を集めるように言ってこいと半ば脅しのようにして(1)屑屋を使いにやる。帰ってきた屑屋に、今度は大家のところに通夜に出す酒と肴を持ってこいと言ってこいと、また脅す。(2)屑屋が大家のところに行く……

 この(1)と(2)の部分の描写(屑屋が出向いて行き、らくだが死んだことを告げて相手がそれを信じるまでの描写)が演者によって様々で、この違いがなかなか興味深い。

 書き出してみたので、興味があれば読み比べてみてね。

林家染丸(3代目)

 

【月番のところ】
屑屋:へぇこんにちは。あのーちょっとお伺いしますが。あのー、今月の月番は、あのーお宅さんでおますかいなあ?
月番:ああ、月番うちやがな。何やな、屑屋はん?
屑屋:えぇ、ちょっと言付け頼まれましたんで。
月番:ほう何ぇ?
屑屋:あのー、長屋のらくだはんがゆうべフグにあたって死にましたんでね。
月番:え? らくだ死によったかァ。はぁ、こりゃめでたいなあ。
屑屋:そんでその、兄弟分のね、脳天の熊五郎ちゅう人が……

【大家のところ】
屑屋:こんにちは。
大家:おお、屑屋さんか。今日は何も売るもんはなかったで。
屑屋:いやあの、今日は屑買いに来たんやおまへんので。
大家:おぅ? 商売替えでもしたんかい?
屑屋:いやあのー、言付けを頼まれましたんでおまんねん。あのー、お宅の長屋のね、あの、らくだはんがゆうべフグにあたって死にましたんで。
大家:えぇ? らくだが死によったかいな。あぁそうかァ。こらもうすっぱりしたなぁ。ぁあそうかァ。それを知らしてくれたんか? おぅおぅおぅ、おおきにおおきに。
屑屋:えー、ところがそのぉ、兄貴分のね、脳天の熊五郎ちゅうのがあの……

 

三笑亭可楽(8代目)

 

【月番のところ】
屑屋:こんちはー。
月番:何だい屑屋ァ?
屑屋:今月の月番こちらでしたか?
月番:そうだよ。
屑屋:あの、裏のらくださんが死んだんです。
月番:え? いつ? ゆうべかい? どうして? フグ食べたあいつが? ……そうかい、そりゃいいことをしたなあ。
屑屋:でその、らくださんの兄ィって人が……

【大家のところ】
屑屋:ごめんなさい。
大家:だぁれ? 何だい屑屋さんじゃねェか。一昨日払いもの取りに来て、そんなにうちには払いものァ溜まってねェぜ、え? 払いものじゃねぇのかい? 何だい?
屑屋:あの、裏のらくださんが死んだんです。
大家:え? いつ? ゆうべかい? どうして? フグ食べて死んじゃった? ありがたい。そりゃああたしゃ助かったねぇ。
屑屋:でその、らくださんの兄ィって人が……

 

金原亭馬生(11代目)

 

【月番のところ】
屑屋:ええ、月番さん、こちらですね。
月番:おお何だい屑屋さん。何も払いもんなんざァねェぜ。
屑屋:今日は商売でうかがったんじゃないんです。らくださんなんですが。
月番:へッ? らくだがまた暴れてんのかい?
屑屋:そうじゃないんですよ。ゆんべフグにあたって死んだんです。
月番:らくだが死んだ? そりゃいいことをしたねェオイ。フグにあたったの? よくあててくれたなあ。おい、生き返ることはねェんだろうなァ? 今のうち頭ァ潰しとけ。
屑屋:蛇だねまるで。で、兄貴分て方が……

【大家のところ】
屑屋:ごめんくださ~い。
大家:はいは~い。おぉい、表にどなたかお見えになってるぞ。え? 屑屋さんが来ました? 屑屋? 屑屋! お前ェ勝手口へ回れよ。
屑屋:今日は屑屋じゃないんでございます。
大家:商売替えしたのか? 何の商売だっておんなじだい、いいじゃねェか。
屑屋:やっぱり屑屋なんです。
大家:何なんだよ?
屑屋:らくださん……
大家:え? らくだが? 暴れてる? しでかしてるのか?
屑屋:いえ、そうじゃないんです。ゆんべ、フグにあたって死んだんでございます。
大家:らくだが死んだ? そーかいそりゃあよかった。わざわざ知らしてくれたのか、すまなかった。婆さん、聞いたかよ? らくだが死んだとよォ。今朝茶柱が立ったからなあ。何かいいことがあるに違ェねェと思ってたんだよ。そうか、ご苦労さんご苦労さん。
屑屋:で今、兄貴分てぇ人が……

 

柳家小さん(5代目)

 

【月番のところ】
屑屋:ごめんください。
月番:おう。
屑屋:えー、こちら様が今月の月番さんで?
月番:おー、俺んとこが月番だい。何でぇ屑屋さんじゃねェか。
屑屋:ええ、あの、お長屋のあの、らくださんですけどねえ、
月番:うん
屑屋:ゆんべフグを食べてね、それにあたってあの、亡くなりました。
月番:え? らくだが? フグ食って死んだ? そいつはいい塩梅ェだなァ。そうかい。何でぇおまえ、わざわざ知らせに来てくれたのか?
屑屋:いいえあの、そのらくださんの兄弟分って方ァ……

【大家のところ】
屑屋:ごめんください。ごめんください。
大家:ヲい! 誰だい? おお何だい、屑屋さんじゃねぇか。ええ? こないだ何だなァ、出したばかりでまだそうは溜まっちゃいねぇぜ。
屑屋:いえェあのう、何でございます、屑をいただきに上がったんじゃないんでございます。
大家:何だい、何か商売替えか?
屑屋:いえいえ、実はあの、お長屋のあの、らくださんですけども。
大家:らくだがどうしたんだい?
屑屋:ゆんべ何でもあの、フグを食べましてね。そのフグにあたってあの、亡くなりました。
大家:え? らくだが? フグを食って死んだ? ほんとか? ほんとに死んだんだな? 嘘じゃねぇなあ? おい何? お前がちゃんと見たのか? そうか、そいつァよかった。生き返ェるようなことはねェだろうなあ? 今のうちに頭ァ潰しといた方がいいぞオイ。ほぉ、そいつァありがてぇ。よくも知らせてくれた……何かい、お前が、わざわざ?
屑屋:いえいえあの、実はナンでございますあの、らくださんの兄弟分……

 

桂米朝(3代目)

 

【月番のところ】
屑屋:えー、ごめんを。
月番:お、屑屋はんかい? 呼べへんで。
屑屋:いやそやないんで。ゆんべあの、お長屋のらくだはんが死にましてな。
月番:らくだが死んだ? よかったなァ~。そうか、ええ、フグにあたって死んだ? おーそうかそうか。ほんでそれおまえ、知らしに来てくれたんか。
屑屋:いやそやおまへんねん。その、きょ、兄弟分の熊はんちゅう男が……

【大家のところ】
屑屋:ごめんを!
大家:屑屋はんやないかい。お前昨日か一昨日か来たとこやろ? 紙屑てなもんそない毎日たまるもんやあれへん。
屑屋:そやおまへんねん。実はゆんべ、お長屋のらくだが死にましてな。
大家:らくだが死んだ? ……助かったなァ! そうかええ? フグにあたって? うわァ、天罰じゃ。うんうん。それでそれをお前、知らしに来てくれたんか。
屑屋:いやそやおまへんねん。その兄弟分ちゅうのが来てましてな……

 

笑福亭松鶴(6代目)

 

【月番のところ】
屑屋:ごめん、こんちは!
月番:ヲぃ! 誰や? ああ屑屋はんかい。何や?
屑屋:へえ、あの、この長屋のらくだはん、ゆうべ、フグぅ食うて死にはりましてん。
月番:何? らくだが? フグにあたって死んだ? ほんまかい? 屑屋、なぶってんねやなかろうな? ほんまに死によったんか? ほんまに? はーーーーーーーはっは! よう、よう知らせてくれた。よう知らせてくれた。おおきにおおきに。はぁー、これはもう長屋の連中にすぐに知らすわ。皆喜ぶわ。
屑屋:それについて、あのね、あの、兄弟分の矢田桁の熊っちゅう……

【大家のところ】
屑屋:ごめんやす!
大家:はい、どなたじゃな? あ、紙屑屋はんかいな。あんた昨日来たやないかい。紙屑てなもんはな、そない毎日出るもんやないねんで。
屑屋:ええ、そら解ってま、ええ。今日は商いやおまへんねん、へぇ。実はあの、お宅の長屋に住んではった、らくだはんが、ゆうべフグぅ食うて、それであたって死にはったんですわ、ええ。
大家:何やて? らくだが? 死んだ? 死んだ? 婆さん、婆さん! 聞いたか? らくだが死によってんと。ええ? はーははははは! あーやれやれ。助かった。よォ~死んでくれた。いやあ、えらいはばかりさん。よう知らしてくれた。
屑屋:へぇ、それについてあの、兄弟分のね、矢田桁の熊はんていう人が……

 

柳家小三治(10代目)

 

【月番のところ】
屑屋:こんちはー。
月番:あーい。おゥ何でェ屑屋さんじゃねェか。今日は払いもんねェぜ。
屑屋:いえ、あの、今日は……それじゃねぇんですよ。……こちらが今月の月番さんですよね?
月番:オゥそうだよ俺んとこ月番だ。
屑屋:あのう、実は、奥のらくださんが、亡くなりました。
月番:ええ? らくだが? ……死んだのかい? ほんとかよおい。……いつ? ゆんべ、フグ食って、あたって死んだ? ……そらァありがてぇねえおい。いやァあれがいるんでもう長屋の連中は枕を高くして寝らんねェよおい。あああんなイヤな奴はねぇんだよオイ。そうかい。ハァ~そりゃありがてぇやオイ。いや~ありがてぇありがてぇ。よく知らしてくれたなァ。
屑屋:それでねえ、らくださんの兄さんって人が……

【大家のところ】
屑屋:こんちは~。
大家:はい、誰だい? ああ、何だい屑屋さんじゃねェか。おい、3日前に出したばっかりだぜ。3日の間に払いものなんざ溜まりゃしねぇや。
屑屋:いえ、あの、今日はそういうナニじゃねェんすよ。えー、実はですねえ。お長屋のらくださんが……亡くなりやした。
大家:らくだが? 死んだ? そりゃいい塩梅ェだ! ほんとかよおい? へぇ~! こらまぁ……えぇ? ありが……お、おい、婆さん! 聞いたかい今の、え? らくだが死んだとよォおい、え? こりゃよかったなあ。いやぁありがてぇありがてぇ! よかったよかった。ああ。よかったなァ!
屑屋:……いえ、それでですねえ。あのぉ……えーえー、それはあの、いえ、あの……ゆんべ、亡くなったんです、ええ。あの、フグ、食べてね。いえそれはいいんですけど。らくださんの兄さんって人がいましてね……

 

三遊亭円生(6代目)

 

【月番のところ】
屑屋:こんちは。
月番:誰だい? よォ、何だい、久さんかい。何だい?
屑屋:えー、らくださんがゆうべ、亡くなったやすが。
月番:へ? 誰が? らくだが? 死んだのかい? へー、そうかい。死ぬ野郎じゃねェんだがナァどうも。
屑屋:何でもフグにやられたという……
月番:へぇ~、そうかいまぁ……まぁまぁ何にしても、そりゃあよかったねえ、あぁあぁ。……で、知らせてくれたのかい?
屑屋:えぇ今、そのらくださんの兄貴分てェ方が来ているんで……

【大家のところ】
屑屋:ごめんくださいまし。ごめんくださいまし。
大家:はぁい、誰だい?
屑屋:こんちは。
大家:あぁ何だ、屑屋じゃねぇか。いくら商売ェ熱心だってお前ェそう度々来たってありゃぁしねえよ。一昨日持ってったばかりじゃねェか。
屑屋:いえ、今日は屑屋じゃないんでございます。
大家:何だい、商売替えかい? よしなよしなよォ。慣れもしないことをやってオイ、損をするくらいが席の山だぜェ。何になっだんだ今度は?
屑屋:いえ……やっぱり、屑屋なんです。
大家:な~にを言ってんだ? だってお前ェ「屑屋じゃねェ」って。
屑屋:いや、商売で上がったんじゃないんですが、あの、お知らせがございますんで。長屋のらくださんがゆうべ死んだんでございます。
大家:え? 誰が? らくだが? 死んだ? ゆうべ? ……おい、お婆さん、らくだが死んだとよォ。え? ゆうべ。あっははははっはっはは~。死にやがったってよォあの馬鹿~え? ど、どうして死んだんだ? え? あぁあぁ、フグ? フグだとよォ婆さん、え? ああ。はっはっはは~あっははは~はァ、いい気味だよ死にやがったって。ははははそうかい。はァ~それはまあ何にしてもめでてェこったそりゃ。うんうん。うんうん。知らせてくれたのかいいやァどうもご苦労さん。
屑屋:それからあの、今、らくださんの兄貴分てェ方が……

 

古今亭志ん生(5代目)

 

【月番のところ】
屑屋:月番は、お宅ですか?
月番:あい! あたしだ! 何だい?
屑屋:あのぉ、らくださんのことで……
月番:あっとっとぃ、ちょっとお待ちよおい。ダメだよらくだのことここに持ってきちゃってもダメだよ。うん。そりゃいけないよ。
屑屋:いえ、あのォ、らくださんが死んだんでございます。
月番:え? らくだ死んだ? ほんとかい?
屑屋:そうなんですよ。
月番:へぇー。……生き返りゃしねぇかい?
屑屋:生き返りません。
月番:いやそうじゃねぇよ、ああいう図々しいのは生き返るかもしれないから、頭よく潰しとかなくちゃいけねえよ。
屑屋:フグにあたりましたねえ。
月番:フグにあたった? へぇ、フグもよくあてやがったな。そうかい。
屑屋:それでその、兄弟分という……

【大家のところ】
屑屋:こんちは!
大家:ああはい、誰だい? 誰だい? あああ、屑屋さんか。ねぇなあ。今日はないよ。お前に払ってくもん。
屑屋:いえ、使いに来たんです。
大家:ほぉ、何だい?
屑屋:あのお、らくださんのことについて。
大家:またあいつが何かやったのかい? また困るよ。らくだのことをこっちィ……かまう人間が悪いんだよぉ。
屑屋:いえ、らくださんもう死にました。
大家:え? らくだが死んだ? うん……ほんとかよオイ? そんなこと言ってお前さん人を喜ばして……おいほんとかよ?
屑屋:ほんとなんですよ。
大家:へぇ~え。おいお婆さんや、え、らくだが死んだと。よく死にやがったなぁあいつは。フグがあてたのかい? フグを祀るよ俺んところで。……それで?
屑屋:兄弟分てェのが1人いましてなぁ……

 

立川談志(7代目)

 

【月番のところ】
屑屋:こんちは。……ちは!
月番:おう、誰? おう、金さんか、屑屋の。何だい? 屑? そうはねぇわな。一昨日だよ確か。おう。ないよ。
屑屋:いえいえ。屑屋じゃなくて、らくださんねぇ……
月番:おっとっとっとっ、畜生、よせやいらくだの話なんて持ち出すなよ。悪い野郎だなァあいつは。え、うん。やられたんだろ? こんなことやられたのか? 絞められた? え? そうじゃない? これ取られちゃったのか? どうしたよ勘弁してくれよみんなやられてんだよ。な、これは諦めろよ。
屑屋:死んだんすよ。
月番:誰が? らくだが? フフン、喜ばせようったってそうはいかないぞおまえ、え? 何で死んだんだい? 死ぬような奴じゃないよあいつは。ああいうのは生涯死なない、ことによると。うん。ふざけた野郎だねェ。こんなんなってさ。そんな話よくあるんだよ。うん、みんな嘘。
屑屋:死んでるの見てきたんすよ?
月番:誰が? お前が? ほんとに? ほんとかよおい、フ(笑)……何で死んだんだい?
屑屋:フグにあたって死んじゃったんす。
月番:フグにあたって……らくだが死んだ? そりゃありがてぇなあ! え? おい! らくだァ死んだってよ! らくだ! 死んだってよォ! ……ほんとかよォおい。ありがてぇなあ、おい。らくだァ死んだ? え、うん。嘘じゃねぇだろうな、え? 嘘言うとただじゃおかねぇぞお前殺しちゃうぞふざけやがって。え? おい。らくだが死んだ? どォしたい?
屑屋:それでね、丁の目の半治っていう……

【大家のところ】
屑屋:こんちは! ごめんください。
大家:はい! だぁれ? どなた? いやァあたしが出る、ああいいよ……。ああいらっしゃい。えー、ど……、あ、あァ? なんだと思や、屑屋じゃねえか。何してやんだ間抜けめ、裏へ回れ裏へ。表から来やがって。身分を知れ身分を。ふざけやがって。え?
屑屋:その、屑屋で来たんじゃないんです。
大家:商売替えか? 何してんだねェお前が屑屋になんのに一枚噛んでるんだぞ俺が。手前ぇが落ちぶれて困ってるっていうから屑屋に脇に回ってもらってお前に……
屑屋:いいやいや、そうじゃないんです。あの、らくだ……
大家:あったったったい、ちょ、馬鹿。らくだの話をするんじゃない。大きな声で。バァさんが聞いたらどうなるか、え? らくだときいたら表飛び出しちゃうんだからバァさんは。らくだと落語と間違えて逃げちゃった。え? どうしたこんなことか? これか? え? 取られたの? 勘弁してくれよォ。あたしはどうにもしょうがねえんだあいつばかりはねえ。
屑屋:いえ、勘弁も何も、死んじゃったんですよ。
大家:誰が?
屑屋:らくださんが。
大家:フフフフ。ほんとかい? 嘘だろ?
屑屋:本当ですよ。フグにあたって死んじゃったんですから。
大家:ほんとに死んだの? らくだがフグにあ……でおまえさん見た? 死んでた? へぇーありがてぇ! よくあてやがったフグも偉ェそのフグは。並大抵のフグじゃねぇ、フグのこれは石塔か何かおっ立ってやりてぇくれぇなもんだ、アァ。ほ、ほんとに死んだのか? ……そーかぁ。いや、今朝茶柱が立ったから何かいいことがあるんじゃねぇかと思ったがな、うん。で、大丈夫か? 生き返りゃしねぇか? ああいう図々しい奴は生き返るぞ。今のうちに石で頭を潰しといた方がいいんじゃねぇか?
屑屋:死んでます。
大家:……そーか、死にやがった! うはははは。バァさんよ、らぁくだ死にやがった! よーしよーしよしよし、肩の荷が下りた。どうした?
屑屋:丁の目の半治とかいう奴が……

 

立川志の輔

 

【月番のところ】
屑屋:こんちは! こんちは!
月番:はい! おい何だ、久さんじゃねぇか。ええ? 屑かよ。おい冗談じゃねえやな。この前来たばかりでいくら貧乏長屋だってそんなもの急に溜まるわけはねえじゃねェか。
屑屋:いや、今日はあの、屑屋で来たんじゃねぇんです。
月番:何だい?
屑屋:あの、らくださんが……
月番:馬鹿。何てこと言うんだい急にィ。何の支度もせずに急に「らくだ」なんて言うなよォ嫌いなんだから、え? らくだの話がしたかったら手紙で今度らくだの話をしに行きますとか何とかって言えよお前。あるいは入ってくる時におそるおそるな、ら、ら、らく、らく、らくだ……とか何とかお前、活用して入ってこい。この野郎本当にまぁ。チッ、何だいどうしたんだい? 俺嫌ェなんだよ。話聞くのもヤなんだどうしたの? 殴られたの? 蹴られたの? 物盗られたの? それともオカマ掘られたの?
屑屋:いやそうじゃないんです。し、死んじゃいましたよ。
月番:死んだ? この野郎お前、いい加減なこと言って人を喜ばせるなお前。あんなものは死ぬわけねえじゃねェか。ど、どうやったって死なねェよ!
屑屋:いえいえ、あの、フグにあたったそうですよ。
月番:フグにあたったそ、そうですよっていう噂だろ。そういうのはよくある、うん。うん。うん。この前もそう。らくだが半殺しの目に遭って息も絶え絶えだとそういう噂があったんだよ。でみんなで駆けつけていったらそうじゃないんだ。らくだにやられた奴の話なんだよ。で、らくだがこうやって笑ってたもん、ああ。馬鹿馬鹿しいったらありゃしない。いいよいいよ。いいってさ。
屑屋:いえそうじゃないんです。私この目で見てきたんですよ、ええ。あの、死んでましたから。
月番:ほんとかおい? ほんとにらくだ死んだの? ほんとに? ……おい、喜ぶよ? おい、喜んでから嘘だっつったらお前殺すよお前。喜んでいいの? 喜んでいいの? なぁ、喜んじゃうよ。おおおおおお! 死んだからくだが! 嬉しいじゃねぇかおおおおああああ! おいおい誰かに知らせてくれよオイ。誰かに分けたいじゃないかこういう幸せをよォ。……お、おい源ちゃん源ちゃんこっち来い! らくだが死んだらくだが死んだ、おいおい久さんが言うんだから間違いねェ。フグにあたって死んだんだとよォ。ああ嬉しいな、おおおおい、ええ? よく、よく死んでくれたよな。
屑屋:そ、そうなんです。あの、それであの、あたしちょっと今、寄っただけなんですけども、実はあの、丁の目の半治って兄分が……

【大家のところ】
屑屋:こんちは。こんちはー。
大家:はいはい。すいません、どなた様ですかな。今そこへ出ま……馬鹿! 屑屋! 久公! お前は何様だ? 屑屋だろこの馬鹿野郎。裏から回れ、裏から!
屑屋:いえあの、屑屋で来たんじゃないんです。
大家:もう商売替えか? 馬鹿野郎。お前がこの長屋に入るには随分と苦労して、あたしが今までいた屑屋を脇にどけてお前を入れて……
屑屋:いやそうじゃねぇんですよ。あの、らくださんが……
大家:あッ! ……馬鹿野郎。心の臓が激しくなっちまった。何でそうやっていきなり喋るんだらくだのことを。うちの婆さんに聞こえたらどうするんだ、婆さんなんざあたしよりもっと嫌いなんだ。この前「らくご」つっただけで表ェ走り出したくらいなもんだ。馬鹿野郎、本当に。……え? 何だい、どうしたかわからねえが確かにうちの店子だ。うちの長屋の者には違いないが、もう、そうであってそうでないんだよ。な? わ、わかった。何をされたのか知らねェがな。あたしんところにそれ持って来られても、あたしはとてもそんなものは背負えない。いいから諦めておくれ。
屑屋:いえそうじゃないんです。あの、らくださん……死んじゃいましたよ。
大家:何? らくだが死んだ? フッ……つまらない世辞を言って喜ばせんな人を。あんなものが死ぬか。死んでほしいねえ。あたしゃとにかくあたしの目の黒いうちに死んでもらわないとあたしゃ死ねないよ悔しくて。ええ? 一日も早く死んでもらいたいねえ。
屑屋:いや……ほんとに死んだんです。あのフグにあたったんです。あたし死んだのそれ見て、ここに知らせに来てるんですよ。
大家:……何? ほんとに死んだのか? ほんとに死んだ? 喜ぶぞ? 死んだか? ……婆さんや、婆さん! らくだが死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだよかったなァー。今朝茶柱が立ったから何かいいことがあると思った。そーからくだが死んだかよかったよかったよかったァー。あーうーれしー何? フグにあたった? よくあてたなそのフグも。フグの像を建てよう長屋の入口に。ああフグに会いたいッ!
屑屋:であの、丁の目の半治っていう兄分の人が……

 

突然食いたくなったものリスト:

  • 吉四六の焼飯

本日のBGM:
A Hard Day’s Night /ちわきまゆみ
Day Tripper /YELLOW MAGIC ORCHESTRA

YouTubeのビデオには、「ぶっ飛んだテクノアレンジの名曲対決です  1/ ちわきまゆみ – A Hard Day’s Night  2/ Devo – (I Can’t Get No)Satisfaction 」とかいってDEVOのカバーも入ってる。でもこの曲と対決させるんだったらやっぱりYMOの「Day Tripper」だよねえ。




1 comment

  1. COMMENT:
    AUTHOR: 黒猫亭
    URL: http://kuronekotei.way-nifty.com/nichijou/
    DATE: 10/13/2009 10:12:55 AM
    お疲れ様です。

    こうして並べてみると、どうやらhietaro さんが仰る方向性は志ん生の流れではないかと思えますね。小さんの口演でも、大家のセリフでらくだの死を疑うニュアンスと「頭潰しておく」と謂う言い回しが出ていますが、これは寧ろ志ん生の口演を参考にしたのではないかと思います。

    談志も小さんの弟子ではありますが、小さん直系の弟子の小三治の噺にはそれらのニュアンスがまったくありませんし、この噺はまさに三代目の小さんが関東に持ち込んだものですから、関東版のらくだ全般に同じようなニュアンスが共通していない以上、三代目小さんからの流れのらくだは関西版とそれほどニュアンスが変わらなかったのではないかと思います。

    で、志ん生の口演で、「らくだのようなしぶとい奴は殺しても死ぬはずがない、何かの間違いか担いでいるんだろう」と謂うニュアンスが入ってきて、それを五代目小さんが参考にして採り入れた、そして談志のほうはもっと直接的に志ん生流のニュアンスを強調する方向で自分のものにした、そんなところではないでしょうか。

    以前圓生の「百年目」についても申し上げたことですが、噺の中で特徴的な言い回しが共通している場合は直接的な承継関係を想定したほうが妥当だと思いますので、たとえば「生き返らないように頭を潰しておく」「フグもよく当てやがった」と謂うのは、偶然同じセリフが出るものではないですから、志ん生の口演が五代目小さんや談志に影響したと視て好いと思います。

    小さんと談志の関係はhietaro さんもご存知のことと思いますが、多分に師と張り合うような動機もあって小さんが若干採り入れた志ん生の流儀を強調して採り入れているところもあるんですかね(笑)。ただこれ、やっぱりご指摘の通り、志の輔くらいになるとかなりしつこいですね。

    個人的には、やっぱりこのニュアンスは小さんか志ん生のレベルが相応で、あんまり談志ほど強調するとどぎついような気がするんですが、上方のほうでは誰もその方向性ではやっていないですね。この両者の違いと謂うのは、らくだのしぶとさや傍若無人さに対して長屋の連中が半ば誇張された恐れを抱いているかどうかだと思うんですが、あんまりびくびく怖がっていることを強調すると、生前のらくだの暴力性が洒落にならないだけに、長屋の連中の被害者性が強調されすぎてちょっと笑えないような気がするんですね。

    松鶴はらくだのような「ごりがん」な人物像を表現するのが巧みですから、そこまで強調しなくても随分横道者だと謂うことが伝わりますし、大阪の気風として、こう謂う人物を恐れると謂うより鼻つまみとして嫌うと謂う方向性になるのかな、と思います。どうも上方落語に出てくる大阪のおやっさんと謂うのは勇み肌の人が多いですから、大家のほうも内心らくだを恐れていても結構突っ張っていますよね。

    松鶴でも米朝でも、長屋の連中はらくだが暴れ出すと厄介だと恐れてはいるけれど、びくびく逃げ隠れしていると謂う印象ではないですね。何だったらこっちだって負けてないぞ、と謂う気概がある。その辺が大阪の庶民の気っ風なのかな、と思います。らくだやその兄貴分に脅されていくじなく言いなりになるのは、出入りの屑屋くらいなわけですが、この気の弱そうな男が、一旦酒が入ると…と謂うのがこの噺の眼目ですね。

    ただまあ、談志の方向性も、それはそれで一つの解釈としてアリはアリだろうとは思います。
    —–

    COMMENT:
    AUTHOR: hietaro
    URL:
    DATE: 10/17/2009 10:26:49 PM
    >多分に師と張り合うような動機もあって小さんが若干採り入れた志ん生の流儀を強調して採り入れているところもあるんですかね(笑)。
     
    2人の関係は、ネット上で少し見たくらいなので、その関係がネタにまでどの程度影響を与えているのかはよく知らないんですが……。
     
    ただ、私は初めてこの噺を聞いた時に、「そんなに簡単に信じるの?」と思いました。死ねば長屋のみんなが強飯を炊いて喜ぶくらいの人物の死を、「死にました」「そりゃいいや」となるのは少しリアリティに欠けるなあと。これは単なる隣人の死であっても。
    ですから談志を聞いた時は「それが自然だよな」と感じましたし、まさに「リアリティ」という観点で談志はこういう展開にしたのだろうな、と思った次第です。
    ただ、「らくだ」について談志は「『らくだ』は志ん生である」と言っているくらい評価していますから、志ん生からの影響は大きいのだと思います。
     
    >びくびく怖がっていることを強調すると、生前のらくだの暴力性が洒落にならないだけに、長屋の連中の被害者性が強調されすぎてちょっと笑えないような気がするんですね。
     
    私はむしろ、長屋の連中が被害者性を強調すればするほど逆に生き生きする(^O^)という倒錯した部分に面白さを感じます。
    談志の長屋の連中は「びくびく怖がっている」というよりは「無茶苦茶ぶりに呆れ、諦めている」というように見えます。そこでこの「諦め」に至った無茶苦茶なエピソードを語るという部分に、むしろ「被害者性自慢」じみた部分が出て、これがこの部分の笑いにつながっているように思えます。
    この部分があるからこそ、長屋の連中もまたこの噺の「登場人物」(路傍の石ではなく)として噺に華を添えていると思うのです。
     
    つまり、ストーリーに自然さを与え、登場人物を「増やし」、さらに大家と屑屋の関係という緯糸まで潜り込ませた……という工夫を、「らくだ」という噺に与えたのだと思うんです。この部分、完成させたのは談志だろうと。
    —–

    COMMENT:
    AUTHOR: 摸捫窩
    URL:
    DATE: 10/18/2009 02:23:39 AM
     こんばんは。

     個々の演者の語りの差異は、演出意図や芸の継承の系譜を表しているかもしれないという事は、大変興味深く感じられました。
     芸の継承と言った論点とは少し離れてしまうかもしれませんが、ちょっと気づいたことを書いて見たいと思います(私は複数の演者の聞き比べをしたことがほとんどありません。もし的外れな内容であったらごめんなさい)。

     志ん生の系譜に現れる、“頭を潰した方が良い”という趣旨の台詞についてですが、これが店子や大家のらくだに対する恐怖(死への疑い)を表しているというのは、まさにそのとおりだと思います。その一方で、これが蛇を連想させる言葉である点にも意味があるのではなどと考えています。例えば、生殺しの蛇は仕返しにやってくるので頭を潰さなければならないという俗信は良く聞くように思います。また蛇蝎のように嫌うという言い回しもあります。さらに、中々死なないとか生き返るとかの蛇のイメージは、かんかんのうへも連なっていくと言うこともできるのではないでしょうか。
     つまり、らくだの性質や物語のモティーフに関する連想ゲーム的な考え方があって、そのの下に「頭を潰しておく」という言い回しを用いた演出が作り上げられたとは考えられないでしょうか。

    >談志を聞いた時は「それが自然だよな」と感じましたし

     文章で比較すると私もそのように感じました。このような視点でそれぞれのテキストを見ていくと、確かに伝聞からの事実認定が余りに簡単な気がします。それまで散々悩まされた迷惑者なのですから、死んだなんて話も実は嘘で罠じゃないかと疑う位が丁度よいのではなどと思ってしまいます。
     ただ、私は実際に聞いたときにはそうした点についてあまり疑問に思いませんでしたので、文章ではなく実際に談志を聞くとちょっとくどいと思ってしまうかもしれません。

     なお、私も数度「らくだ」を聞ているわけですが、演者が誰だったのか記憶にありません。ただ、もしかすると馬生かもしれません。“まるで蛇だね”のような意味の言葉をなんとなく覚えています。

     余談ですが、前のエントリに黒猫亭さんが記されているように、「らくだ」はやや苦手な部類に入ります。おそらく私にとっても、理不尽な振る舞い(酒乱であれ恫喝であれ)という部分が引っかかるところのようです。そんなわけで酔っ払いが理不尽に振舞う「一人酒盛り」、「うどん屋」なども私にはちょっと“合わない”演目でした。酔っ払いが登場する場合、特に演者が上手な場合、酔っ払いがあまりにリアルで、本気で疎ましく感じてしまうのです。

     議論の方向性とずれた内容で申し訳ないです。
    —–

    COMMENT:
    AUTHOR: hietaro
    URL:
    DATE: 10/20/2009 03:11:56 AM
    >摸捫窩さん
    >例えば、生殺しの蛇は仕返しにやってくるので頭を潰さなければならないという俗信は良く聞くように思います。また蛇蝎のように嫌うという言い回しもあります。
     
    仰るとおり、私も、殺しても死なない[しぶとい奴|イヤな奴]という意味を重ねているのだと思います。
     
    >さらに、中々死なないとか生き返るとかの蛇のイメージは、かんかんのうへも連なっていくと言うこともできるのではないでしょうか。
     つまり、らくだの性質や物語のモティーフに関する連想ゲーム的な考え方があって、そのの下に「頭を潰しておく」という言い回しを用いた演出が作り上げられたとは考えられないでしょうか。
     
    かんかんのうに関する知識はwikipedia以上のものはないのですが、その歌詩ではなく、死者を踊らせる⇒生き返り といった連想の話をされているのだろうと思います。とすれば、なるほど、そういうつながりを考えることもできそうですね。
    ……とすれば、ですよ。
    この話の(省略されることの多い)サゲとして、ソーレンの途中でらくだの死体と入れ替わった願人坊主が火葬場の中で目を覚まして大騒動、という場面になりますが、もしこれ、かなり小さなエピソードとして挿入されている「願人坊主との入れ替わり」がなかったとしたら、そのまんま、らくだの行き帰りの物語になるんですよね。とすればその連想ゲームは大上段で完成するのかな、とか。(^O^) いやまあ、今ふと思っただけなんですが。
     
    Wikipediaの「らくだ」の項の冒頭にあるように、この話は主人公?であるらくだが、「登場したときにはすでに死人であるという、他に例の無い話」であって、この話はハナの初めから、それぞれの登場人物の「らくだの死」との距離感の違いが、話の面白さというか、深さを成り立たせているんですよね。
     
    しかしらくだという話はあまり評判がよくありませんね。(^O^)
    私はあまりそういう嫌悪感は感じなくて……と、ふと気づきましたが、私は「宿屋仇」に出てくる源兵衛(色事の告白をする、3人組の1人)がかなりイヤです。(^O^) 
    —–

    COMMENT:
    AUTHOR: 黒猫亭
    URL: http://kuronekotei.way-nifty.com/nichijou/
    DATE: 10/20/2009 09:23:13 AM
    >hietaroさん、摸捫窩さん

    お二方のお話を伺って、大分見えてきたように思います。理詰めで考えるなら、多分この噺ではたしかにらくだに対する恐怖ってのは重要な要素になって、立川流ではそこを強調する演出になっているんだろう、と謂うストーリーが見えてきましたので、まあ、長くなりますからその辺はウチで引き取ってエントリを起こします。

    >>しかしらくだという話はあまり評判がよくありませんね。(^O^)

    まあ、普通そうでしょうね。落語にはかなり悪趣味な噺も多いですが、この噺は世間の感覚だと洒落にならないネガティブな要素がかなり盛り込まれていて、思い切ってグロテスクでバッドテイストな噺ですから、好みの別れるところではありますね。その辺についても思うところがあるので、後ほど。

    >>私は「宿屋仇」に出てくる源兵衛(色事の告白をする、3人組の1人)がかなりイヤです。(^O^)

    落語は一種のスターシステム(厳密には違いますが)に則っていますので、名前だけ視ると「三枚起請」と同じ面子なんですが、片や兵庫の「しじゅうさんにん」で片や大阪の友達同士なので完全に別人ですね。宿屋仇で矢鱈に空威張りする源やんは、三枚起請の悪賢い遊女と対決してやり込める頼もしい兄貴分の俤なんかまったくないですからねぇ(笑)。

    この噺に出てくる三人組は、大阪人から視た極端にカリカチュアライズされた兵庫人ですから、大阪のゴリガン野郎とは別種の野卑な粗暴さがあって、クライマックスの源やんの色事の話も「侍の奥方と間男して、人を殺して、五〇両盗って逃げた」なんてことを自慢しているところが、嘘にもせよつまんない蛮勇を誇る辺りが薄っぺらいですね。

    その一方では、使用人の伊八には権柄尽くで威勢がいいのに、隣客が二本差しだと識ると途端に意気地がなくなるのも、まあ庶民らしさと謂えばそれまでですが、ちょっと厭らしい。この辺の、侍を怖がっているくせに、侍の女房を寝取って武芸の達人を殺したと謂う自慢話をしている辺りが滑稽味なんでしょうけど、ちょっと厭味な笑いであることはたしかです。

    ただ、個人的にはこの噺は割合好きで何度も聴いています。テーマ自体は騒音被害と謂うちょっと生々しい話なんですが、万事世話九郎のキャラが救いになっているんですかね。よく考えてみると、扱っている素材は割と不愉快だし、オチも冴えない噺で、構造的には何処が面白いんだかよくわからない噺なんですが、不思議と面白い。多分、シットコム的なドタバタが映像的で面白いのかな、と思いますが。
    —–

    COMMENT:
    AUTHOR: hietaro
    URL:
    DATE: 10/24/2009 01:21:13 PM
    では続きは黒猫亭さんのところで、ということで~。

    http://kuronekotei.way-nifty.com/nichijou/2009/10/post-af88.html

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