『ラーメン食いてぇ!』でのラーメンのすすり方

 twitterに書いたことだけど、いずれブログにも書こうと思ってて忘れてた。

 『ラーメン食いてぇ!』という映画の話。

 今年の3~4月に単館系の映画館で公開された、webマンガ原作の映画。
 ストーリーなどについてはリンク先の公式サイトで見ていただければ。

 結局、残念ながらこの映画を劇場で見ることはなかったのだけど、予告編の映像があって、(ストーリーには関係なく)それについて書いたので、残しておこう。

 え?
 あ、そうですよ。
 あいかわらず「すする」って話です。
 聞き飽きた方は(^^;;ここで終わってくださいごめんなさい。m(_ _)m

 映画のプロモーションのために、映画の一部が動画で公開されていて、ラーメンを食べるシーンも含まれていた。

 これ。

 この動画の0分22秒あたりからラーメンを食べるシーンが出てくる。

 主人公(女子高生2人)が作ったラーメンを試食するシーン。
 この、最初に食べる男性のすすり方が非常に上手い。
 普通に見てるとあっさりと見過ごしてしまうシーンだが。

 この手順がまるで麺をすするときのお手本のようなので、ちょっと解説してみる。(わかってる人には本当に分かりきった話なので「何言ってるんだ」と思うかもしれないけど。そこは許して)

 ↑[0:35]麺に手をつける前に、スープを飲んでいる。

 これ自体はすすることに関係ないし必ずしもスープを先に飲む必要はない。 ただ、私もこうする。
 というのも、どうも私は温かいものが急に喉に入ってくるとむせてしまう。(^^;; だから先に喉を温めておく方がいいようなのだ。ラーメンの前に餃子とか炒飯とか、他のものを食べておくのもいいのかもしれない。

 このあたりは個人差だと思うので、自分に合ったやり方をすればいい。必ずしも最初にスープを飲む必要はないし、ここではレンゲでスープを飲んでいるが、別に丼から直接飲んでもいい。そんなのは自由だ。

 いずれにせよ、儀式みたいな話ではない。

 ↑[0:39]丼から麺を外に引き出し持ち上げる動作を何度かしている。

 これをせずにすぐに麺をすするとスープの中で絡まってる麺に引っぱられてすするのが途中で止まってしまう。なので一度麺を持ち上げて、すする分の麺を引っ張り出す。つけ麺の場合はその作業を山から麺を取りだしてつけ汁に移動する時にするわけだ。

 そしてもう1つ注目してほしいのは、この動作を3回していること。ここでつまむ麺の量を調整している。よく見るとわかるが、この動作でつまみ上げている麺の量は全部違う。一番最初に持ち上げた麺が多すぎたので、箸でつまむ量を調整したのが2回目3回目。

 この麺の持ち上げからすするシーンまでを細かく見ていくと……
 1回目持ち上げて、「あ、多かったかな」と一度麺を離す。
 2回目高く持ち上げて麺を引っ張り出す。それでもちょっと多い気がしたので、
 3回目は数本少なくつまみなおして持ち上げてすすっている。
 ……こういう感じだと思う。もちろんアツアツの麺を冷ますという意味もあるだろう。
 1回目の持ち上げでちょうどいい量が持ち上げられればそのまんますすればいい。

 麺をすするときは、基本的に麺は噛み切らない。
 なので箸でつまみ上げるのは、すすりやすく、口に収まる量の麺ということになる。もちろん口に入りきる量ギリギリまで多くつまむ必要もない。
 この量は、何度かすすってるとちょうどいい量が自分でわかるようになる。

 ↑[0:44]そして一気にすすり上げる。

 美しいねえ。(^O^)

 この時、丼に口を近づけているのはスープの飛び散りを抑えるため。
 本来は丼を手で持って、丼の方を口に近づけて食べた方がいいのだけど(つけ麺のつけ汁の椀もそう)、ラーメンはスープが熱くて丼を手で持てないことも多いから、その場合はこうすると飛び散らなくていい。

 実は、器を手で持つかどうかは結構すすることと関係しているように思える。
 意識的にか無意識的にかは人それぞれだと思うが、例えばざるそばのようにダシが小さな器に入ってると(しかも手で持てる温度だと)器を手で持つし、すると自然にすすれるようになっている。すすらない理由の1つは液体が飛び散るのを避けるということだから、この持ち方をすると自然にすするようになるようだ。
 私はよくラーメン屋で周りの人がすすっているかどうか観察するのだが、屋台だとすすってる人の割合が多くなる。ラーメンだけ渡されて、丼を置く台がない(イスだけある)時ね。

 あとこの動画では、すすり上がる麺が踊ってスープを飛び散らせないように、箸で麺の通路?をサポートしている。これはだいたいの人が自然にしている工夫だ。

 ↑[0:47]今回は持ち上げが1回だけだったけど、麺が長すぎたのか麺の最後の方が引っかかっていたのか、息が続かず、「ズーッ、ズッ、ズッ、ズッ」とすすっている。
 まあ、こういうのはよくあるね。

 ところで、すするには適切な麺の長さがある。
 この動画の麺は、少し短いという指摘もあったが、特に短いというわけではないと思う。家系いえけいと呼ばれる種類のラーメンは麺が短いのが特徴だが、そんなのと比べればかなり普通に近い。
 家系の麺が短いのはスープが飛び散らず食べられるようにという気遣いらしいが、こと「麺をすする喜び」という観点からいえば、はなはだ不満が残るラーメンだ。
 いやまあ、それはいい。

 麺の長さは自分である程度調整できる。
 麺の端っこをつまめば麺の長さそのまんまの長さですすれるし、長い麺なら麺の真ん中をつまめば半分の長さにすることができる。2/3の部分をつまんだっていい。麺が長ければもう1回つまめばいい。
 そういう調整も、持ち上げの時にする。
 こう考えると、麺が長いのはともかく、短い麺が「すする」という意味で始末に負えないとわかってくると思う。
 逆に、今すすれない人は練習として短い麺ですすってみるというのは有効かもしれない。

 動画の話に戻る。

 この一連の動作が流れるようで、この俳優さんは実生活上からリアルに麺をすするのがかなり上手いのだと思う。ここまで気持ちのいいすすり方をする人を見るのはあまりないので、勝手に興奮しているのですよ。(^O^)
 ごめんね、あまりにピンポイントで(^^;;

 さて、この男性に比べて、左に座ってる女性は下手。
 今度は女性の方に注目して見てほしい↓。

 ↑[0:46]「ズズッ、ズズッ」と少しすすっているが、途中で麺を噛み切っている。

 噛み切るくらいならつまむ麺を半分にしたり、前述のように麺の長さを調整して短めにしたりして、とにかく最後まですすってほしい。麺を途中で噛み切ると残された麺はかなり短い麺になってしまうし、見た目もあまりよろしくない。食べ進んでいくうちに噛み切られた短い麺ばかりが丼に残ってるのはどうにも悲しい。
 まずは「麺を噛み切らない」を目指してほしい。(麺を持ち上げきっていないと麺が引っかかって噛み切らざるを得なくなるよ)

 それはこのあとウンチクを述べる、よくわかってる風の女性も同じ↓。
 麺を味わってないのによくここまで言えるなあ(いや、言ってもいいんだけどね)。

 ↑[0:60]ウンチクを言ってから麺を食べるのだが、麺を、どうやらすすってない。画面が変わるのでちゃんと見えないけど、おそらく麺を口に入れて、ちょっと「ズ」っとやりながら、箸で麺を口までたぐり入れている。もしそうなら、さっきの女性よりもすすり方が下手。でもこういう人はよくいる。

 一番よくいて、一番麺の「線状の形状」を楽しんでないのがこの麺をたぐる食べ方(この女性が実際にそうであるかは動画では確認できないが)。
 箸で麺を口に入れ、麺を(落ちないように)歯と唇で挟んで固定し、まだ口に入ってない部分の麺を箸で口にたぐり入れる。また固定して麺をたぐる。これを数回繰り返して麺を口に運ぶ。
 これだとスープは飛び散らなくてすむ。麺を問題なく口にも運べる。
 こういう食べ方の人はかなり多い(でも自分ではすすってると思ってる)。

 しかしこれでは麺の、細長い麺としての形状を楽しめない。
 麺を楽しむ要素はたくさんあるが、麺を麺の形状ならではの楽しみ方ができるのはすすってこそだ。
 麺をすすって口に入ってくるときに唇を通る感触を味わわないのなら、わざわざこの形状で食べる必要はない。「ピロピロしてる」麺のピロピロ感も、すするからこそ味わえるはず。(口の中に入ればそれはただのモチモチ感だ)
 それがないなら、別に麺じゃなくてもスイトンやソバガキみたいな塊でいいのだ本当は。

 あ、別にそういう楽しみ方、食べ方があってもいいんだよ。いつもこの話を書くときには念押しするけど。別に麺を食べるからといって麺を100%楽しまなくてはいけないなんてことはない。食べ方は人それぞれだ。楽しむポイントも違うだろうし。
 ただ、「ラヲタ」と名乗ってこんな食べ方する奴はお粗末すぎるとは言っておきたい。だってその場合、どう麺を評価できるというんだろう。(私も昔はお粗末だった)

 さてこの『ラーメン食いてぇ!』。
 ラーメンが主役……かどうかはわからないけど重要な役割を果たす映画の中で、この男性のような上手いすすり方ができる人がいるのは本当によかった。

 ただ、これがたまたまこの俳優さんが上手かっただけなのか演出としてちゃんと考えられたものなのかは予告編を見るだけではわからない。演出として意識された上のことだと考えたいけれど、だとすれば他の2人の女性のすすり方……というかすすれなさは少し引っかかる。あるいは演出として食べ方をそれぞれ変えているということもあり得るし、そうならキャラ設定として素晴らしいと思う。

 アニメ版『ラーメン大好き小泉さん』みたいにアニメならこんなこと考えずともみんな見事にすするんだけど(たぐって食べるような登場人物はいないし、もしもそんな描写があればそれはかなり明確な意図があってのことだろう)、実写だとこれが意識されてるかどうかもあやふやなものが多い(実写版『ラーメン大好き小泉さん』を含めて[その話は以前に書いた])。

 「すする」ことがちゃんと意識されているとはっきりわかる実写作品はインスタントラーメンのCMくらいではなかろうか。

突然食いたくなったものリスト:

  • 清蘭のラーメン

本日のBGM:
BLAST! /ももいろクローバーZ





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