醤油メーカーのヤマサがウェブサイトで展開している「ハッピーレシピ部」という企画がある。
その今年の企画が「リアル粉もん道場」。
ここに東西のうどんのだし汁についての興味深い話が出てきている。
関西福祉科学大学の的場輝佳教授のお話。
昔からよく「東京のうどんは辛くて食えたもんやない」とか「関西のうどんは薄くて……」という話があるが、今でもそうなのかと神戸、大阪、京都、上野、岐阜、名古屋、岡崎、浜松、静岡、沼津、伊東、東京でうどんの汁を調査したそうだ。
これだけの場所でうどんのだし汁を調査したと
その結果が面白い。
食塩、色調、うま味
なんと、関西のうどんのだし汁は色も塩分も、そしてうま味も他地域より低いのだと。
これはかなり意表を突かれた。
よく、「関西のうどんはダシが利いている」というけど、実は醤油どころかダシのうま味も弱かったのだと。
大阪のうどんのうま味なんて、調査地域の中で最低だ。
なんとまあ。
関東のだし汁は醤油を主体にみりん、砂糖を加えて寝かせた「本返し」とダシを合わせて作る。その中では「本返し」の芳醇な醤油の香りが主役になる。
関西のうどんのだし汁では「本返し」は使わない。昆布だし、節類のだしを合わせ、砂糖、塩など(みりんもあると思う)でそのままだしに味付けをする。
そこで強いのは、節系の香りだそうだ。
鰹節はあまり使わず、「雑節(さば節や宗田節、煮干など)」を使う。
雑節の生臭い香りが強いのに加え、薄口醤油なので醤油の香りではそれが消されない。
それを飲むと、「ダシの香りがする。ダシが利いている」と感じると。味が薄くても。
つまり、関西のうどんのだし汁の「ダシ感」というのは実は味以上に香りがその正体であると。
関西では「塩分が足りない」と感じるときに塩を入れるが、関東では醤油を足す、という話も聞いた。
関西ではダシの香りが「おいしい」と直結していおり、関東では醤油の香りが「おいしい」に結びついているということなんだろうな。
味以上に香り……というか、「味」というものを「味覚」だけで考えるのがそのそも実態に即しておらず、「臭覚」まで含めた複合的なものととして捉えなくてはいけないという、このブログでも何回も書いた話が、ここでも裏付けられていると。
とにかく、関西のうどんの汁がうま味も少ないというのは本当に意外な事実だったよ。
なお、その、味の関西と関東との境目はこうだそうだ。
だしの東西分水嶺
突然食いたくなったものリスト:
- きつねうどん
本日のBGM:
Riding The Storm /RUNNING WILD
2 個のコメント
旨味って何で測ったの?
グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果も考慮されてるの?
Author
どうやって測ったかまでは書いてなかったかなあ
ただ、うまみを扱う時にその相乗効果を考慮しないことはあり得ないのではないかと思います。
ちなみにうまみの相乗効果については、
「アミノ酸系(グルタミン酸含む)と「核酸系」(イノシン酸含む)」が相乗効果を持ちますし、うまみを持つ食品には多かれ少なかれ数種のうまみ成分が含まれていますので、わざわざ「グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果」と限定するのはまったく正確ではないです