「日本三大そうめん」というのがあるそうだ。
・三輪そうめん(奈良県)
・揖保乃糸(兵庫県)
・小豆島そうめん(香川県)
みんな西日本なんやね。
どれも機械製麺ではなく手延べであることが特徴だそうな。
手延べそうめんは生地を紐状にしてそれを2本の棒の間に巻いてゆき、棒を離していく。すると生地が伸びてだんだん細くなっていき、最終的にそうめんの細さになる。それを乾かすとそうめんになる(そうめんの生地には油が入ってるので完全には乾かない)。(そうめんの作り方はこのサイトとかわかりやすいところがたくさんある)
この時の、棒の部分で麺の折り返しができる。これは機械製麺では出ない副産物だ。この折り返し部分はちゃんとした製品にはならないのだけども、サンドイッチ屋のパンの耳と同じで、これはこれで珍重されて出回る。
こういう部分が三輪や小豆島では「ふし」、兵庫では「バチ」といって売られている。私は「ふし」は知っていたけど、「バチ」は知らなかった。
最初、同じものを違う呼び方しているのかと思った。そう書いてあるサイトもいくつか見つけた。
しかし調べてみるとどうやらそうではないことがわかった。
今回はそれをメモとして置いておく。
「ふし」と「バチ」はそうめんのこの部分を言うらしい。
赤=ふし 緑=バチ
だいたい売られてる「ふし」は細くなった部分まであるし、「バチ」は少し平らに広がったところまである(だから三味線のバチみたいに見える)。
揖保乃糸のサイトには「バチ」は「製品になるのは下管部分だけ」と書かれている。
手延べそうめんは上下2本の管(くだ)に掛けて引き延ばし、乾燥をして仕上げられますが、下管の部分は特に粘りが強く、美味、珍味として、食通の人や地元の人々に重宝がられています。製品になるのは下管部分だけのため、その生産量には限りがあります。 |
上管の部分はどうなるんだろうね?
で、ググってみると、確かに揖保乃糸の「ふし」は見つけられなかった。三輪そうめんの「バチ」はわずかにあった。
上の図を見ていただけるとわかるように、三輪そうめんの「ふし」、揖保乃糸の「バチ」は形状的に両方作るのは難しそうだ。緑色と赤色が重なった部分があるので。
ただ揖保乃糸の説明を見る限り、上管部分の折り返しは三輪そうめんと同じ形状の「ふし」ができる気がするけれど。
なお、「3大そうめん」のもう1つ、小豆島そうめんでは「ふし」も「バチ」もあるみたいだ。こういう記事をみつけた。
切る場所が違うから三輪そうめんとは違うふしの形状になってる。「C」の字っぽい中山美穂。
この切り方なら「ふし」と「バチ」が両方取れる。おそるべし小豆島そうめん。
いずれにせよ、「ふし」と「バチ」は手延べそうめんを作る過程でできる、別の部分だ。
しかし案外、「ふし」と「バチ」を混同して…というか、この違いがあるということを知らずに片方が片方の別名だとしているサイトも多い。
あるいは「ふし」あるいは「バチ」は「かんざし」とも呼ばれる、というサイトも多くあった。
たとえばここ。
そもそもそうめんとは、熟成を重ねた小麦粉を2本のクダ竹にかけて少しずつ細く伸ばして作る。その際、竹にかかった端の部分が“バチ”。形が三味線を弾くバチに似ていることからその名がついたそう。 伸ばす作業の際に生まれる副産物なので、取れる量もごくわずか。それに機械で作られたそうめんからも取ることのできない、手延べならではの商品なのだとか。 “バチ”を昭和50年代から販売しているイトメンさんに伺ってみると、“そうめんバチ”とは播州地方の呼び名。奈良では“麺かんざし”とも呼ばれているそうだ。 |
しかしどうも、ググッてみる限り、奈良で「ふし」や「バチ」を「(麺)かんざし」と呼ぶ習慣はなさそうだ。出てくるのはうどん、特に稲庭うどんばかりだ。
細くなってる部分が長くて、「ふし」と「バチ」がくっついてる形状だなあ。
てなわけで、少々の例外はあるようだけど、三輪そうめんでは「ふし」が、揖保乃糸では「バチ」が売られていることが多く、小豆島そうめんは「ふし」が多いが「バチ」も売られている、という感じのようだ。
ちなみに小豆島そうめんの製麺所さんの、こんな記述も見かけた。
そうめんを製造する際にそうめんの他に「ふしめん」「ばちめん」と言われる副産物が出来上がります。 普段は「ふしめん」は販売していますが「ばちめん」はご近所の方におすそ分けしたり、次回製造の材料になったりします。 |
ここは「バチ」は売られてないもよう。
突然食いたくなったものリスト:
- とんかつ
本日のBGM:
アジアの純真 /チャラン・ポ・ランタン
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