前にも書いた話なんだけど、改めて書いておこうかなと思うことがあって。
今年の5月3日、『京都B級グルメ覇王決定戦』という番組が放送された。これは1月19日に放映された『大阪ラーメン覇王決定戦』の続編にあたる番組。私はこの両番組はかなりヒドかったと思っているが、その話はまたいつか書くこともあるだろう。今回はそういう話ではとりあえずない。
もっとピンポイントな話について。
『京都B級グルメ覇王決定戦』、山元麺蔵といううどん店の紹介VTRの中で、こんなナレーションがあった。
「なんと山元のうどんの半分以上は水でできている。それは小麦粉がうどんの状態でいられる極限の水分量なのだ! それゆえ生地はそのままでは柔らかすぎて扱えない。-5℃でいったん凍らせることで固さを出し、製麺するのだ。そして、営業中も切りたてのうどんを提供する。その独自の製法こそが、表面はもっちりして中はシコシコとした独特の食感を生みだす秘密なのだ。これぞ秘技、多加水麺!」
これはいくらなんでもなあ。
「うどんの半分以上は水でできている」ってか。いやいやいやいや。いくら何でもそれは無理でしょ。
多分だけど、これはテレビ局が「加水率」の意味を勘違いしている。
おそらく店で「加水率50%以上」と説明されたのを、「半分以上は水」という意味だと解釈したのだろう。
しかし「加水率」とはそういう意味ではない。
「加水率」というのは小麦粉に対する水(塩水)の量なので、「加水率50%」というのは小麦粉10に対して水を小麦粉の量の50%、すなわち5を加えたという意味。できあがるうどんは
10(小麦粉)+5(水)=15(麺)
なので、「加水率50%」の麺(15)に占める水(5)の割合は、5/15=33.3%ということになる。
となると、「半分以上は水でできている」麺というのは加水率何%以上だということか。小麦粉を10とすると……、
10(小麦粉)+10(水)=20(麺)
ということになるわね。
つまり、「半分以上は水でできている」麺というのは加水率100%以上の麺ということになる。
そんなの無理です。
加水率100%とかいうと、もうそれは麺の話じゃなく、炊飯とかの話。(^O^) あるいはコンクリートや温泉の話になっちゃうよ。
ちなみに果敢にチャレンジする人もいた(西讃岐中央饂飩研究所(WARAU YODARE 笑うよだれ))。
まずは小麦粉100gに対し塩水100g。 加水率100%。 当然、予測通り液状。 手にネバネバとくっつき剥がれない。 硬いお好み焼きの生地状態。 木工用ボンドのような粘りがある。 とても通常の製麺作業は見込めない。 |
とのこと(ちなみにこの方はこの後、加水率100%の生地を「手動圧力押出式製麺機ぎゅ~~としぼってくん2号」を使って新たな製麺の世界を切り開いていらっしゃった(^O^))。
一応、このサイトからもわかるように絞り出しからそのまんま湯に投入という東アジア的製麺手法を使えば(^O^)麺の形にもなるそうだし、山元麺蔵では-5℃に凍らせて扱うということだから、あるいはひょっとして、ひょっとしたら本当に加水率100%以上の麺を作っているのかもしれない(加水率50%のうどんなら、凍らせないと扱えないというほどでもないはずなので、これはこれで気になる)。
そうだとしたらあまりに凄いことなのでここでまた報告したいが、動画を見る限りそれはないだろうと思っている。
いずれにせよ、「加水率」というのはそういう意味だという話。
そしてもし加水率100%以上だとすると、それは多加水麺どころか超ウルトラビックリドッキリハイパー多加水麺になるということ。
一応、『魔法のレストラン』の特別編なんだよなあ、この番組…。
突然食いたくなったものリスト:
- 揚子江か南州軒のラーメン
- ハッピーターン
本日のBGM:
Happiness /BAHO
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