【来年の展望】つけ麺ブームは終わる

 暮れも押し詰まって、慌ただしくなってきた。
 いつもならこの1年に食べたラーメンについてどれがよかった、こういうことがあったと書くところだけども、今年は趣向を変えて、来年の展望を書いてみたい。
 これが当たるかどうかはわからないけど。

 今年、宮田麺児(「宮田麺児@東心斎橋」)でも痛烈に感じたこと。
 てつじが麺屋棣鄂の麺を自慢して「麺が命なんや」とアピールするように、麺というのはもちろん製麺段階(どんな粉/方法で麺を作るかなど)での麺のポテンシャルは非常に大切だ。しかしそれだけではダメで、その生麺を店で茹でて客に出すまでの行程が、同じくらい重要な要素になっている。そしてもちろんここにも店主や店員の考え方や力量が大きく反映される。

 宮田麺児でのてつじのように、いい生麺を仕入れさえすればそのまま客にいい麺が出せるなんて勘違い(勘違いですよ)している店主もいるわけだし、そして実はそういう店はさほど少数派でもないように感じている。

 特に極太麺(別に定義はないけれど、14番以上くらいをイメージしている)について、製麺、茹で/締めそれぞれの段階で「ほんまにそれでうまいの?」と思うことが多い。

 「つけ麺ブーム」といわれて久しい昨今、これだけ極太麺がうまくないというのは本当にどうなってるんだろうと思う。ブームだからこそ参入もしやすいわけだけども、「つけ麺は極太麺」とか「豚骨魚介」とか勝手に固定観念に縛られて、逆にそういうのさえ押さえていればそれなりのものができるなんて安直なことを考えているとしか思えない店が多すぎる。

 極太の結構ゴワついた麺で、むしろそれを売りにしておいしく食べさせられるのは六厘舎のような、一部のちゃんとしたバランスを保った店だけで、多くの店は形だけを真似て魂は受け継いでいない。
 「関東で連日、行列を成した繁盛店の味を受け継ぐ……まさに絶品!」なんて触れ込みで登場した例のあからさまな劣化コピーの店も、麺をどうすれば一番おいしい状態に仕上げることが出来るかなんてことには一切興味はなく、ただヒットした道具立てを真似ただけだった(開店からわずか1年。既に閉店しましたぜ)。
 これは店だけじゃなく売らんがために安易に店に企画を持ち込む製麺業者、問屋、コンサルにも責任があるだろう。

 この店はもちろん極端な例ではあるが、じゃあこの店が他の店に比べて極端に違っていたのかといえば、私にはそう断言するほどの自信はない。程度の差はあれつけ麺野郎的な心構えでつけ麺を扱っている店は少なくないと思う。
 麺のうまさを味わうための極太麺ではなく、つけ麺という「売れる」メニューの「道具立て」としての極太麺を出しているのだ。

 道具立てに過ぎないからおいしさではなくスペックに走る。
 例えば「○○という小麦粉を使っている」「国産小麦粉100%」(←これの何が売りになるのかよくわからんが)なんて感じで、「銘柄」「産地」というわかりやすい要素を出してくる。
 あるいは太さ。
 昔は番手が16番くらいで極太と言われていたのが14番、12番……とだんだん太くなっていって、8番くらいの番手のものまで登場してくる(切刃の番手の話はこちら)。で、「超極太麺!」みたいなことをいうわけだ。しかしほんとに8番手の切刃なんかで正方形断面の超極太麺を作ったら無茶苦茶扱いにくい麺ができてしまう。ゆで時間は10分では全然足りないだろう。そこで麺帯を薄くして、横から見たら「これってむしろ細麺やん」というくらいのペラペラの平麺を作ったりする。これでも確かに切刃の番手は8番だから、「超極太麺!」と言えちゃう(言えないと思うけど、店はそう言い切っちゃう)。
 いや、これがほんとに麺のおいしさを追求してそうなったのなら別にそれはそれでいいのよ。きっとそういうところもあるだろう。
 でもね、どうもアンタ、その「超極太麺!」ってフレーズを言いたいだけでしょ? でもその超極太と真正面から向かい合っておいしく食べさせてみせるなんて気概もないんでしょ?としか思えない茹で方/締め方をしている店もあるんだ。

 というわけで、正直言って現在、関西でつけ麺の麺がおいしい店は非常に少ない。
 意外なことではあるけれど。
 しかし事実。
 特に極太麺を謳っている店で麺がおいしい店は稀少。製麺所から買っている極太麺でうまい麺は更に少ない。おそらく製麺所が置かれている状況/環境/立場は極太麺を作るのには適していないのだと思う。とはいえその質だってさまざまだ。与えられた条件の中でいい仕事をする製麺所もあるはず。そういう麺を今度は店側が茹で/締めに細心の注意を払えば最終的にうまい麺として客に提供できるはずだが、そんなことまで考えている店はこれまた少ない。
 ということで、理屈上ではなく実際問題として、製麺所の極太麺でつけ麺を作っている店でうまい麺を出している店はほぼない。(極太麺の話ね)

 これは由々しき問題だと思う。
 いやほんと。

 しかし事実。

 店の経営を支える(ラヲタではないという意味で→)一般の人たちはもう「つけ麺って流行ってるから食べてみたけど、マズいねあれ」と思い始めている。
 そりゃそうだ。だってうまくないんだもん。

 で、彼らはどうしてうまくないのか考えて、その原因をつけ汁に求める。だから「つけ汁との絡みが悪い」なんて言い出す(あるいは「ぬるいから」とか)。アンタ蕎麦でもそういうことを言うのか?とも思うが、しかしそれはその人なりに「どうしてつけ麺はマズいのか?」を考えた結果ではあるのだ。本当は単純に麺がマズいだけだったりするんだけども、まさかそんなこととは思いもよらない。だってさんざん「つけ麺は麺を味わうもの!」なんて宣伝/演出しているわけだしねえ。(^^;

 そういう誤解を客がして、それを店に求めるから店はまた「濃厚」とか何とか、つけ汁に凝る。

 負のスパイラル、のように思える。

 だから来年あたり、関西のつけ麺ブームは終わる。

 もうね、そういう店はつけ麺をやめて、みんな油そばをやればいいのだ。
 そして「つけ汁がぬるくなるからダメ」なんて客はラーメンに戻ればいい。「麺がつけ汁をはじく」とか言う客は油そばを喰え。絶対にはじかないぞ。

 自家製でしっかり手間をかけて極太麺を作れる店や、ちゃんと「極太麺を一番おいしい状態はどんな状態か?」を考えて茹で/締めに気を配れる店だけが残ればいい。

 ……いや、その考えは間違ってるなあ。やっぱりタマ数(市場)があってこそのクォリティだとも思う。

 だから、その、あれだ。

 つけ麺の麺はラーメンの麺とは違うし、それが極太麺ともなれば普通のラーメンの麺とは全く違うんだということをせめて認識して、それをおいしく食べるにはどう処理すればいいのかに心を砕いて研究してほしい。

 それをするだけで、風前の灯火となった今の「つけ麺ブーム」も少しは延命できるかもしれない。

突然食いたくなったものリスト:

  • インドマグロの鉄火巻

本日のBGM:
Perfume /Perfume






 


5 comments

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    • まんぼう on 2017年3月10日 at 7:19 AM
    • Reply

    DATE: 12/28/2010 01:17:08 PM
    イイネ!

  1. DATE: 01/09/2011 12:57:53 AM
    弊ブログにも記しましたが、
    <【来年の展望】つけ麺ブームは終わる>と云うhietaro予言は、当たっていたようです。

    • ようこ on 2017年3月10日 at 7:20 AM
    • Reply

    DATE: 08/28/2011 10:34:12 PM
    ブームなんだからそりゃおわるでしょ?
    なんだかなあというつけめん批評でした。

    1. DATE: 08/28/2011 11:01:20 PM
      >ようこ さん
       
       「ブームなんだからそりゃおわる」なんて話はしていないつもりなんですけどね。
       「○○が体にいい」とか「悪い」とか何とか言ってるところに、
       「人間なんだからそりゃ死ぬよ、フフン」
       って人が来ても、たいてい相手にされませんよね。優しい人なら、
       「はあ、そりゃごもっともですね」
       とか言ってくれるかもしれないけど。

    • 維新の会 on 2017年3月10日 at 7:20 AM
    • Reply

    DATE: 11/16/2012 12:42:29 PM
    つけ麺食べたけどあまりおいしくない、やっぱり普通のラーメンがいい。豚の脂がしつこいし体に悪そう。

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