先日の「幻のカニラーメン」に載せたN氏のレビューを引っ張り出すために昔の資料を探っていると、一緒になんか変な(^O^)表が出てきた。
こういうのは芋づる式ですな。(^^;
というわけで、これもご紹介しておく。
これはかつて心斎橋にあった尾道ラーメン めんくい店内に貼ってあった、おそらくはどこかの週刊誌のコピー。1995~1997年あたりのものだと思う。てことは関西ラーメン暗黒時代の頃の話だねえ。オリジナルには日本全国の店が書かれていたのだけども、当時はデジカメなどなく書き写すしかなかったため西日本だけで断念したのだった。
表にある○、△はそれぞれ、
○……麺がスープより1ランク上
△……麺がスープより1ランク下
という意味だそうだ。
大阪
(あっさり) |
大阪
(こってり・とんこつ) |
神戸・京都など
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九州
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(5)超一流ラーメン (調味料を化けさせる) 神通力を感じる。虜にする。しかし、このランクでも時々(4)や(3)に落ちることも多い。 |
朱華園(尾道) | 一風堂本店(福岡) 一蘭那の川店(福岡) |
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(4)一流のラーメン (調味料をうまくこなす) 感動湧く美味さ! 力・技・魅力で本物! 文句なし。 |
神座 尾道ラーメン十六番(心斎橋) |
こむらさき(鹿児島) 桂花本店(熊本) 珉子ラーメン(北九州) |
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(3)上級のラーメン (調味料をうまく処理) 十分美味いが感動で弱い。こじんまりしている。インパクト、深さ、洗練を少し欠く。 |
喜らく(新梅田) ラーメン若水(心斎橋) 青冥(心斎橋) △揚子江(梅田) △味仙(心斎橋) 喜六(日本橋) |
藤平ラーメン(中津店) 福将軍(桃山台) 悟空(難波) |
第一旭(たかばし本店) 長田ラーメン(長田) |
黒亭(熊本) 八峰(福岡) 元祖長浜屋(福岡) 赤のれん&とん吉(福岡) 山水亭(熊本) 呑熊(熊本) 大砲ラーメン(久留米) △風林亭(熊本) 万龍(小倉) △さぼんラーメン(鹿児島) |
(2)中級のラーメン (調味料を匂わせる) 舌と脳天にズバッとこない。何か物足りない。もどかしい。煮えきらない。 |
○赤れんが(南森町) 好房(扇町) 皇蘭(難波) 小洞天(難波) アベノ日本一(宗右衛門町) 萬吉(難波) |
○れんげラーメン(上本町) ○らーめん朱(梅田) 天下一品(布施店) ラーメン華(難波) ラーメン横綱(枚方) 古潭(東梅田) 味奉行(布施店) 熊五郎(千里中央) ラーメン物語(梅田) 博多(四つ橋) 力雅(京橋) 金龍ラーメン(難波) 薩摩っ子(難波) 四天王(心斎橋) |
芦屋ラーメン庵(芦屋) ほそかわ(西京極) もっこす(石屋川) 元町ラーメン(元町) |
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(1)その他のラーメン (調味料臭い) ありきたりで、並の味の調味料、香辛料、ラードなどの乱用と技倆未熟な処理。 |
喜多方ラーメン蔵(心斎橋) ちりだラーメン(心斎橋) 彩華(上本町) 上海(新大阪) 楽天食堂(心斎橋) 白龍(東梅田) 樹(難波) |
今日しかない(難波) 一級らあめん(京橋) |
天天有(一乗寺) 夜鳴きや(山科) 珍遊(一乗寺) 三馬力(神戸・三宮) |
まず店のラインナップが感慨深い。いかにも1990年代。今でも残っている店が多いことも意外といえば意外だし、納得といえば納得。
しかしそれ以上に感慨深いというか興味深いのは左の(1)~(5)のランク分けの基準だ。
(5)超一流ラーメン
(調味料を化けさせる)
神通力を感じる。虜にする。しかし、このランクでも時々(4)や(3)に落ちることも多い。
(4)一流のラーメン
(調味料をうまくこなす)
感動湧く美味さ! 力・技・魅力で本物! 文句なし。
(3)上級のラーメン
(調味料をうまく処理)
十分美味いが感動で弱い。こじんまりしている。インパクト、深さ、洗練を少し欠く。
(2)中級のラーメン
(調味料を匂わせる)
舌と脳天にズバッとこない。何か物足りない。もどかしい。煮えきらない。
(1)その他のラーメン
(調味料臭い)
ありきたりで、並の味の調味料、香辛料、ラードなどの乱用と技倆未熟な処理。
なんと、麺の善し悪しでもスープの取り方でもなく、調味料の生かし方が基準になっているのだ。あとは「神通力を感じる」だの「感動湧く美味さ」だの「舌と脳天にズバッとこない」だの、かなり主観的な……というか、これは単なる感想か。
あるいはこの「調味料」という言葉の中には、今の私たちがイメージする砂糖、塩、醤油、酢、油、スパイス、旨味調味料……等々といった調味料にとどまらず、ダシ(ということは豚骨だの頸骨だの昆布だの鰹節だのといった素材や、それの取り方)なども含められていたのかもしれない。
強弁に思うかもしれないが、もしそうだとすればこれはそのままこの時代のラーメン評論のボキャブラリーの貧困さを示すものだろう。そしてそれが貧困だったということは、少なくとも当時のラーメンに求められていたのはそういう部分ではなかったということだ。
まあこの基準の書き方からして、なんというか、この表を作った人が結構アレげな人っぽいなあという想像はつくのだけども。(^^;
いずれにせよ当時のラーメン観、あるいはラーメン評論の一端がうかがえる記述だ。
次回は「90年代のラーメン2」をやる予定。
突然食いたくなったものリスト:
- 駿台の食堂のカレーライス
本日のBGM:
Daddy, Brother, Lover, Little Boy /MR.BIG
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