『食戟のソーマ』のラーメン

 世間的にはもうかなり古い話題のはずだけどね。
 
 『食戟のソーマ』というマンガをたまに読む。
 このマンガは、日本の食の最高峰の学校(遠月学園)が舞台という設定のはずなのに、出てくるのが普通の大衆食ばかりでなんか面白い。(^O^)
 装いを変えた『クッキングパパ』みたいなもんかもしれない。
 
 コミックスの第9巻に、ラーメンでの勝負があった。



食のエリートが集う遠月学園だが、出てくるメニューはこんなんばっかり

 ところがここでもまたねえ、ラーメン観が古い。(>_<)
 
 いや、なんか変わった、見たことないラーメンが出てくるのよ。その意味では新しい、んだろう。
 でも結局、ここの価値観も、おいしいラーメン=おいしいスープで貫かれてるんだ。
 
 ラーメンはやっぱりスープ料理ですかと。
 
 麺が二の次、三の次すぎて。(>_<)
 
 実質は『クッキングパパ』とはいえ、とりあえず日本最高峰の食の場という設定のはずなのに、これはなあ。20世紀の価値観のままだよ。なんでこうなるんだ。
 
 いやまあね、「ラーメンはスープ料理」という認識であってもいいんだよ、古くはあるが、まあそれはどれを選ぶかというだけの話だ。
 
 しかしそれは麺を軽視していいって話ではないはずだ。
 


麺の話、こんだけ

 「麺の熟成には時間がかかるものもある」という理由がついていて、これは一応、麺を自分で用意しない理由づけになっているが、あそこまで徹底的に自分の料理にこだわっているのに、麺を完全に人任せにしてしかも試食さえしないというのはいくら何でも麺を軽視しすぎている。熟成時間をそんなに取らない麺や「打ちたて」麺の可能性を排除する理由もない。


主催者側が用意するといった麺

 他人任せにする割には選べるのは形状のみで、小麦粉の種類、加水率や塩・かん水の量、打ち方に対する選択肢もない。
 
 製麺所のカタログだってこんな雑な記述じゃないぞ。
 
 実際の食戟のシーンで描かれるのはスープ作りばかりで麺を茹でる場面はまったく描かれない。そして湯切りの場面はこれだ。


2人とも、湯切りはテボ

 営業というわけでもない、こんな試合の大本番でわざわざテボを使う理由なんてないからね。
 ここで麺茹でに使われるべきは麺を大きく泳がせるための大釜。そしてそこから麺揚げをするのはテボではなく平ザル(あるいはそれと同等のものを工夫した何か)しかないでしょ。
 
テボと平ザル
 
 審査員の評価もスープの旨みの話ばかり。麺とスープとの関係の話どころか、麺に一切触れない。
 
 ラーメンなのに。
 
 だったらラーメンなんてまどろっこしい縛り方なんかせずに、素直にスープ対決をすればいいのだ。
 こんな勝負なら麺はおいしいスープの邪魔をするやっかいな具にすぎないもの。かん水(アルカリ性)が入ってる分、麺を入れるとスープの味にはかなり影響を与えるからね。
 
 この勝負はテーマが「ラーメン」であるにもかかわらず、どちらの料理もラーメンである必要がないという(ちゃんと考えれば)不思議な勝負なのだ。
 
 少なくともこの試合が、「たかが」ラーメンとはいえ、それを「料理」ととらえて真剣に向き合うという設定なのだとしたら(そのはずだ)、このラーメン観はあまりに古い。これは直接、作者のラーメン観の反映なんだろう。
 
 ……いや、ここまで言い切ってしまうにはほんの少しのためらいがないでもない。
 上で「麺に一切触れない」と書いたが、実は審査のシーンで麺に言及する箇所がたった1コマだけあった。
 それがこれ↓。


「このスープを麺に絡めて……」

 これは、ラーメンがスープ料理であるとしても、麺はそのスープを口に運ぶための1つの重要な手段であると言っているようにも読めないでもない。これらのスープは麺を介して口に運ぶのが一番おいしい、だから麺が必要……だというなら麺の存在意義もそれなりにある。
 
 これこそが「古くさい」ラーメン観の中身ではあるが、しかしもしそれを明確に意識しているのであれば、それはそれで主張として成立する。
 
 私が気に入らないのは、昔からの固定観念にとらわれて、深く考えもせずにただ漠然とラーメンをスープ料理として麺を軽視する姿勢だ。もちろんそれも1つのラーメン観としてはあり得るが、少なくともソーマの舞台設定としては一番場違いな感覚だろう。だから上の「古くさいラーメン観」という書き方は、そのラーメン観の「古さ」を非難している以上に、「考えない」結果として古いラーメン観をただ踏襲することを非難している。
 
 麺の重要性の考え方に私の考えとの違いはあるが、それが明確なのであればそれはそれでOKだ。
 
 ただ、そういう主張であればやはり麺の存在がこんなに軽視されるはずがない(麺の形状だけではなく、その中身によっても麺の持ち上げ方、口への入り方は違ってくる)ので、これは私の買いかぶりなんだろう。残念ながら。

 マンガといえば、『めしばな刑事 タチバナ』の地ソース巻はとてもよかった。

突然食いたくなったものリスト:

  • だし巻き

本日のBGM:
THE BIG-O Opening
Bohemian Rhapsody + Flash





2 comments

    • つんちゃん on 2017年6月19日 at 7:55 PM
    • 返信

    こんにちは
    私も「テボ」が気になりました。
    包丁人味平のラーメン勝負の方がプロっぽかったです。でも,味平は麺を10分も茹でていますが,ものすごい極太麺でもなさそうでした。

    1. お久しぶりです。
      新しいブログへようこそ。(^O^)

      変なこと考えてぬるま湯で茹でてたとかいうオチだったりして

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