賞味期限が切れたカレーを喰らう

 しばらく(しばらく、ね)開けてなかったストッカーから、えらいものが出てきた。
 いくつかのレトルトカレー。

 昔、「1つ100円以下のレトルトカレー食べ比べ」を友人とやったことがあって、食べ切れなかったのが残ってたのだと思う。

 賞味期限は2002~2003年。
 食べ比べをやったのがこの1~2年前だったんだろう。

 これ、今でも食えるのだろうか?

「レトルトなら大丈夫だろう」

 と、ふと考えたが我ながら根拠が不明だ。何となくレトルト食品はずっと大丈夫な気がしているのだが……。

 で、ググってみた。

 まず古いレトルトカレーを食った人を探してみる。
 しかしせいぜい賞味期限から3年くらいたったもの程度で、9年前のものを食ったという記述は見つけられなかった。

 うーむ。

 まあしかし、9年前のものを食ったという記述が見つからなかっただけで、9年前のものを食ってみたけどダメだったという記述を見つけたわけではない。

 とりあえず3年くらいのを食った人は大丈夫だと書いている。
 レトルトカレーというのはずっと保つのかもしれない。

 さらにググる。
 するとこんなページが見つかった。

賞味期限の話
 

レトルトパウチ入りのカレーと、缶詰のカレーは同じ種類の製品です。どちらも容器(レトルトパウチかブリキ缶)に密封してから容器ごと加熱殺菌します。と言うわけで、まず、缶詰の賞味期限について。

食品缶詰の中で、一番賞味期限が長いのは、おそらく魚缶詰です。これは、加熱殺菌条件が、食品の中で最も強烈だからです。なぜかといいますと、魚缶詰は魚臭さを消すために、意図的に強力な加熱殺菌条件をかけているのだそうです(長い殺菌時間、高い温度)。他の食品缶詰のように、「風味を残そう」としてはいけないのだそうです。結果的に強い殺菌で、耐熱細菌の残存の可能性が極端に減り、賞味期間が長くなるのです。(スウェーデンの殺菌してない魚缶詰スールストレーミング(中で細菌が発酵して缶が膨らむ)は除く)。 

一方、普通のホワイトソースやカレーなどの調理缶詰は、原料の風味が残っていないと、美味しくないですね。その為、魚缶詰ほど殺菌条件は強くないので賞味期間は2年程度になります。

 
 あら、レトルトと缶詰はやっぱり違うのか。しかもカレーは缶詰でも賞味期限は2年程度??
 

さて、缶詰の賞味期間を決定するのは、ほぼ上記の事柄ですが、レトルトパウチの場合、別の要素があります。容器のガスバリア性です。

プラスチックが空気を通すもんかと思っている方が殆どでしょう。実は通します。ゴム風船は、いつの間にかに萎んでしまうのをご存知でしょう。これは極端な例ですが、プラスチックもゴム同様、空気を通すのです。どれだけ空気や水分を通さない能力があるかを「ガスバリア性」と呼びます。 全てのプラスチック容器は気体や水の透過性を持っています。(PETボトル入り炭酸飲料が、同種の缶入りより炭酸が弱く感じるのは、この為です/炭酸飲料のガス抜け関連の話題はこちら)

レトルトパウチの袋のメーカーはレトルトパウチ食品の設計に合致させるために、素材や、その組み合わせを注意深く行います。 一見、唯のピラピラの1枚のフィルムに見えますが、実は何層ものフィルムを貼り合わせた、日本の誇るハイテクの一つです。 (ZLの食品会社も少なからずMadeinJapanの袋を使っています) 

ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、が一般的な素材です。 またガスバリア性を向上させる為に、アルミニウムフィルムを挟んだり、特殊なコーティングを表面に施したりします。

どれにせよ、缶やガラス瓶のような、ガスバリア性100%の、空気を完全に遮断できる容器にはかないませんが。。。。。

レトルトパウチはガスバリア性が100%ではないので、酸素が少しずつフィルムを通過して、中身が酸化します。 食品の酸化は、色の退色、風味の減少等を起こします。 そこで、レトルトパウチ製品は、そのようなことが起きる前までの期間を調べて、賞味期間を設定しています。 その為、缶詰より賞味期間が短くなります。 

ついでですが、カレーのような脂肪分が多い食品には油脂分が光を受けて酸化し、酸化脂肪になる事を防止するために、アルミフィルムを使用するのが一般的です。 ボンカレーが発売当初、透明袋だったのが銀色の不透明袋になったのは、その対策の為でしょう。

 
 ななななるほど。
 レトルトはまったく、永久保存にゃならねえ。
 そうか。

 9年か……。

 無理か?
 無理なのか?

 そんなのあんた、食ってみるしかないでしょう。
 せっかく貴重なサンプルが目の前にあるんだから。

#思い出した。「1つ100円以下のレトルトカレー食べ比べ」をやったとき、かなり多くのカレーを試したので今回残っていたような大辛ものやあまりにメジャーなものは除いたんだ。

 というわけで、食ってみた。

#真似しないでください。

ハウス カリー屋カリー 大辛

 


ハウス カリー屋カリー 大辛


賞味期限:2002.10.27

 商品名では「カリー屋」の部分は漢字なのだけども、「リー」に当たる部分の漢字がないのよ。作ったのかなあ。

 パッケージには「ハウスでハッピー21」という文字がある。
 ググってみると、こんな記事が……。
 

ハウス食品、世紀の変わり目で集中的に販促
日食 2000/12/15 日付 08782 号 03面 B

「ごちそうさま20世紀。いただきます21世紀」‐‐ハウス食品(株)(東京都千代田区、03・3264・1231)は、世紀の変わり目となる11月~来年1月の期間限定で“ハウスでハッピー21”と題し、(1)カレーやシチューのCF集中投入、大陳などの店頭企画(2)レトルトカレー、水などを対象にした記念ラベル(パッケージ)(3)一〇〇円均一セール‐‐の三本柱で末端需要の喚起を目指す。
昨年のY2K(二〇〇〇年問題)特需にかわるものとして企画、11月中旬からスタートしたもので、二一世紀記念・・・

 
 前世紀の製品である可能性もあるようだ。(^^;;;

 このカレーが、この企画(賞味期限が切れたカレーを喰らう)の一発目だったので何も考えずにそのままご飯にかけてしまった。


ルックスは大丈夫そう

 1口食べて「?」。
 2口食べて「!」と。

 何と表現したらいいのか……酸味ではなく脂分由来?っぽい微妙な丸い感覚……といってもどう伝えればいいのか。カレーの香りの中に独特の香りが混じっている。決してクサい匂いではない……どう表現したらいいのかなあ。油、乳製品の変化した味(香り)というイメージ。「悪くなっている」というよりは「不味くなっている」という感じで……。あかん、この感覚を表現できるボキャブラリーを持ってない。この香りはこの後もいくつかのカレーで感じることになる。繰り返すが腐臭のような悪い香りではない。とはいえこの味自体が好みではないので、こういう時は「疑わしいと思った瞬間にその食べ物はおいしく食べられない」の原則で、食べるのは諦める。(食ったら食えないでもないと思う)
 泣きながらご飯ごと海に帰した。

結果:×

グリコ カレー職人 大辛


グリコ カレー職人 大辛


賞味期限:2002.7.4

 何の問題もなく普通に食べられた。
 「大辛」の辛さも残っていた。


カレー職人はいい仕事をしていた

 言われなければ古いということも気づかないと思う。

 あるいは新しければもうちょっと辛いのかもしれないけど、それは比べてみないとわからない。

結果:○

ハウス ククレカレー 辛口


ハウス ククレカレー 辛口


賞味期限:2002.5.15

 さっきから少しずつ賞味期限が古くなっていくが、これは偶然。
 ちゃんとパッケージを見たことはなかったけど、同じハウスのバーモントカレーの「リンゴとハチミツ」とは違って「リンゴとヨーグルト」なのね。
 「ククレ」とは「クックレス」つまり調理不要の意味だとか。なるほどねえ。
 今回食べた中で唯一JASマークがついている。

 JASについて調べてみた。「レトルトパウチ食品品質表示基準」(PDF 31KB)からレトルトカレーについての記述をピックアップしてみると……、

■用語:
レトルトパウチ食品……「プラスチックフィルム若しくは金属はく又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形状に成形した容器(気密性及び遮光性を有するものに限る。)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものをいう。」

カレー……「レトルトパウチ食品のうち、食肉鳥卵、魚肉、肉様の組織を有する植物性たん白(以下「肉様植たん」という。)、たまねぎ、にんじん、ばれいしょ等に、カレー粉、香辛料、小麦粉、食用油脂、食塩等を加え、米飯にかけて食用に供するように調製したものであって、カレー粉特有の香味及び辛味を主な特徴とするものを詰めたものをいう。」

■材料:
「カレー」(野菜を原材料として使用したカレーであって、食肉鳥卵及びその加工品並びに魚肉を使用していないものにあっては、「野菜カレー」)と記載すること。

 なるほど……。
 他のカレーが何故JASマークがついていないのかの方がよくわからないが。

 まあそんなことは気にせずに、食べてみよう。


微妙

 少し「むむむ……?」と思う感じ。カリー屋カリーの不安感とカレー職人の安心感の中間くらいか。

 カリー屋カリーでは香り的に「これは無理」と思ったが、ククレカレーはまだ「ちょっと我慢すれば大丈夫かな」という気がした。
 レトルトの中身を鍋に入れて少しのカレールーと水、そしてヱスビーのマジックソースを入れて加熱して食べた。
 ただ、やっぱり最後まで「古っぽさ」はあり、「何の問題もなく食べられた」とは言い難い。

結果:△

大塚食品 ボンカレーゴールド 辛口


大塚食品 ボンカレーゴールド 辛口


賞味期限:2002.12.26

 開けた瞬間にダメだった。><
 カリー屋カリーと同じくらいかそれ以上に「これは無理」と思った。

結果:×

レストラン京王 FC東京カレー Mild Hot


レストラン京王 FC東京カレー Mild Hot


賞味期限:2003.4.24

 Jリーグとタイアップしてすべてのチームのカレーがあり、これはそのFC東京版……というわけではなく、あくまでもFC東京を応援するためのカレー。

 レストラン京王のサイトによると、
 

「FC東京カレー」とは、その名の通り、FC東京を応援するために生まれた弊社のカレーです。
たっぷり野菜を丁寧に炒め、自然な甘みを引き出したコクのあるポークベースのマイルドなカレーです。
こちらのカレーを、FC東京様と、2001年以来試合開催時の味の素スタジアム等を中心に販売しています。

 

FC東京との歴史を振り返ります。
ホームスタジアム完成の折、京王グループ会社の京王エージェンシーがスタジアムの管理を受託し、その際、京王線沿線の施設でもあるので、京王グループを挙げて支援させて頂くことになりました。
弊社レストラン京王も、株主となった段階で、FC東京を応援させて頂くべく、2001年より「FC東京カレー」を販売しています。
そして、「FC東京カレー」の売上の一部を、FC東京の支援金として使用しています。

 
 なるほど。
 そのカレーが何故私の手許にあるのかは今となっては謎なのだが、いずれにせよこれは最初期のFC東京カレーということになりそうだ。
 他のと違ってレストランが出している(このサイトを見ると、製造はC&Cというカレーチェーンのようだ)ところからしても(味に関しては)ちょっとした期待をしてしまう。

 だが……。
 ルックスがパッケージ写真とかなり違う。(^^;


少し不安にさせるルックス

 確かに写真と比べたら「??」となるが、香りに関してはまったく問題なし。
 おそるおそる食べてみる。

 おお。

 全然大丈夫。
 しかもかなりおいしい。(^O^)

 原型がどういう味なのかわからないけれど、おそらく原型とそう変わらないのだろう。つまり元々とてもおいしいと。
 今回で一番よかった。

 これは当たり。

結果:◎

 なおこのエントリは最後のを食べてから1週間くらいしてから執筆している。
 今のところ、これら由来と思われる不調は出ていない。

 今のところはね。(^O^)

 あと2006、2007、2009年のが見つかったけど、「ああ、新しいやん」とか思ってしまう自分が……。(^^;

 きっと大丈夫だと思う。

 このあたりの生き残り具合はメーカーがとか製品がどうだということではなく、単なる個体ごとの「運」なんだろうと思う。

 いずれにせよこれだけ賞味期限が過ぎているのを無理矢理食べているのだから、メーカーには責任はないのでそのあたり誤解のないようにお願いします。

 あくまでもこちらの自己責任でやってることなので、

突然食いたくなったものリスト:

  • 福島上等カレー

本日のBGM:
Deep Inside My Heart /ROCK CITY ANGELS






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