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3年も前の北海道での「地産地消」論争

※このエントリには理不尽な論理と、それに対する私の結構感情的な罵倒が含まれています。不快になる可能性があるので、その手のものが嫌な方はスルーでお願いします。m(_ _)m

 ある人物についてググっていたときに引っかかったページから、3年前に北海道で「地産地消」を巡って起こったある「論争」を知ることになった。

 結構な有名企業・有名人が関わっていたにも拘わらず、私は全然知らなかった。

 もう3年も前のことでもあるし、本来ならスルーすべきなのだと思うが、あまりにヒドいと思うのでネット上に記録をまとめておく意味でも紹介しておきたい。
 知っている人は今更だろうけれど、私のように知らなかった人にとっては、「知らなかった」という意味で新しいニュースと同列だろうし。

 その「論争」とは……いやまあ、「論争」といったって応酬があったわけでもないのだけれども、他にどう表現していいのかわからないので一応そういう言い方をしておく。(追記:「六花亭問題」と表現しているサイトを見つけた)

 この「論争」は新聞紙上で起こった。しかしすでにネット上に記事は残っていない。
 ただいくつかのブログやInternetArchiveに程度記録がとどめられており、今回はそこからひっかき集めてご紹介することにする。その前に大ざっぱな成り行きを押さえておいてほしい。

 事の発端は北海道の六花亭という菓子会社(マルセイバターサンドで有名。私はコーヒービーンチョコレートが大好き(^O^))が『北海道新聞』(2007/05/16夕刊)に掲載した、「社長の思い」というエッセー風の広告。
 ここで六花亭の小田豊社長は菓子の原料になる小麦粉について言及し、納得のいく菓子作りは当然、原材料の厳選から始まるという。同社では小麦粉は北米産、そして九州産のものを使っていることに触れ、「残念ながら、今のところ、私どものお菓子に道産小麦の出番はありません」という。そして「地産地消にこだわりすぎて、製品の「おいしさ」をないがしろにしては本末転倒」だと思うと結んでいる。
 この表現に引っかかった人がいた。
 それが花畑牧場(生キャラメルで有名)の田中義剛。彼はこの広告が掲載された1週間後の2007/05/23、同じ『北海道新聞』夕刊紙上で彼が持っている連載コラムの中で、この広告への「反論」を書いた。

 かなり大ざっぱで申し訳ないが、こんな感じ。

 私が見る限り、この「論争」を紹介しているブログは田中義剛の方に賛意を示している人が多いようだ。
 一応、『北海道新聞』紙上で上記のような「論争」が起きていることを伝えた『毎日新聞』の記事があるのだが、これもかなり田中側に偏っているように見えて、客観性という意味ではちょっと首をかしげざるを得ないので、その記事を紹介する前に大ざっぱに話の流れだけを書いたというわけ。

 ではまず、2007/06/10付『毎日新聞』(北海道版)に掲載された記事をご紹介する。(⇒「六花亭の社長の北海道の農民に唾を吐く発言 小田豊 田中義剛 」(松浦淳のブログ)さんから) これでだいたいの流れはつかめると思う。
 

● 六花亭社長:「道産小麦の出番ない」広告波紋 地産地消を疑問視、生産者「ショック」

 道内を代表する洋菓子「マルセイバターサンド」で知られる老舗「六花亭製菓」(本社・帯広市、小田豊社長)が地産地消をテーマに掲載した新聞広告に、道産小麦を否定したと受け取れる表現があり、地元生産者らがショックを受けている。同社は「(社長が)思いを自由に表現しただけで、生産者を否定する意図はない」としているが、賛否両論が寄せられるなど波紋が広がっている。【仲田力行】

 問題となっているのは、5月16日付の北海道新聞夕刊1面に掲載された「社長の思い」と題するエッセー風の広告。

 地産地消がもてはやされている現状に疑問を呈した内容で、「私どもは、それぞれの製品に適した原材料を世界中から探し、使い分けています」として「マルセイバターサンド」の小麦粉は北米産、「どらやき」は九州産を使用していると明記。そのうえで、「今のところ、私どものお菓子には道産小麦の出番はありません」「地産地消にこだわりすぎて、製品の『おいしさ』をないがしろにしては本末転倒だと思う」と記している。

 これに対して、十勝管内中札内村で観光農場を経営するタレントの田中義剛さんは「十勝の農家は品質向上のために一生懸命努力しているのに、高慢な表現だ。六花亭は大企業なので生産者は表立って口に出せないが、傷ついている」と反発。同村の小麦生産者(50)は「なぜ配慮のない表現をしたのか疑問だ。『出番がない』というのは『眼中にない』と言っているのに等しく、生産者としてはショックだ」と話している。

 道内の製粉業者や生産者団体によると、道産小麦は、うどんなど製めん向けの「中力粉」が大半で、菓子向けの「薄力粉」の生産は少ないのが実情。ただ改良を重ねて、外国産から十勝産に切り替え、従来と同水準の商品を提供している菓子会社も現れている。

 同社文化広報部は「広告に対する受け止め方はさまざまある。意見を真摯(しんし)に受け止めたい」としている。

 ◇互いに協力して--農林水産省の「全国地産地消推進協議会」会長を務める小泉武夫・東京農大教授の話
 「道産小麦が自社の商品に合うかどうか研究した結果、合わなかった」と記すのならわかるが、北海道のイメージが定着して大きくなった企業のトップとしては残念な表現だ。逆に商品のイメージが悪くなるのではないか。地元の食材に愛情を込めてほしかった。一方で、生産者側も六花亭の商品に合う小麦を作るにはどうすればいいか努力するなど、生産者とメーカーが互いに協力していかなければ地産地消は進まない。

 ■ことば
 ◇六花亭
 1933(昭和8)年、和菓子店「札幌千秋庵」からのれん分けの形で創業。70年代前半に製造・販売したホワイトチョコレートが話題に。77年、六花亭に社名変更。同年から販売を始めた「マルセイバターサンド」は全国的に有名になる。小田豊社長は95年、父豊四郎氏(06年死去)の後を継いで就任した。

 
 ではこの、六花亭の広告はどんな内容だったのだろうか。

 件の広告、2007/05/16付『北海道新聞』夕刊に掲載された「社長の思い」とはこういうものだった。(⇒「お花畑抱き合わせ」(ぜろだまBlog)さんから)
 

・内麦外麦

「道産小麦使用」。パンやうどん、最近では、お菓子にもこんな表示を見かけるようになりました。地元の良質な作物を使う事は大いに結構ですが、ときに「地産地消」をイメージだけで使っているのではないか、と首を傾げることもあります。

九州・佐賀に、『マルボーロ』という伝統的な焼き菓子があります。地元でとれる小麦粉の特性を生かしたこの名菓は、まさに地産地消の理想的な形。しかし、現実にはこのような好事例は少ないようです。

納得のいくお菓子を作ろうと思えば、当然、原材料の厳選から始まります。私どもは、それぞれの製品に適した原材料を世界中から探し、使い分けています。例えば、『マルセイバターサンド』のビスケットに使う小麦粉は、基本的に北米産です。あの歯ざわりや口溶けは、この粉だからできる、と言っても過言ではありません。一方、『どらやき』には九州産小麦。皮と餡のバランスが良くなりました。

残念ながら、今のところ、私どものお菓子に道産小麦の出番はありません。佐賀の名菓のように、材料を生かすことができれば万々歳ですが、地産地消にこだわりすぎて、製品の「おいしさ」をないがしろにしては本末転倒だと思うのです。

 
 この背景には国内産小麦のコスト高、外国産に比べての品質の低さ、北海道での(薄力粉の)生産量の低さなどがあると思われる。
 国内小麦が、政府による大きな保護政策にも拘わらず未だにコスト面、品質面でオーストラリアや北米産の小麦に大~きく後れを取っているのは事実だ。

 例えば「国内産小麦使用 パン」でググってみれば、みんなが国内産小麦でなんとかおいしいパンを作ろうと苦労していることが伺える。また製品のアピールにしても、アピールする点はおいしさではなく「安心・安心」や「無添加・天然酵母」といった点ばかりだ。これは裏返せば、麦の品質でのアドバンテージは強調できないからだろう。
 また一時話題になった『ヤマザキパンはなぜカビないか』というヒドい本(なぜヒドいかは長村洋一「「ヤマザキパンはなぜカビないか」論に見る一般人に対する騙し行為(pdf)」参照のこと)で「発ガン物質」であり「カビが生えない原因」とされた(ウソだけど)臭素酸カリウムがなぜ使われているかと言えば、↓という事情があるからだ。
 

*国産小麦100%の食パン
  国産の小麦はタンパク質含有量が少ないなどのため外国産の小麦に比べ製パンには不向きとされてきました。しかし、当社はパン生地改良剤である臭素酸カリウムに関する研究の成果により、風味とソフト感に優れた食パンの製造技術を開発し、平成16年に国産小麦を100%使用した「国産小麦食パン」を全国で発売しました。
 平成17年には、国産作物の振興と食料自給率の向上への一助となることが評価され、 農林水産大臣より感謝状を授与されました。

 
 ましてや薄力粉は生産量も少なく、つまりは北海道産小麦の得意分野でもないと。
 いずれにせよ、北海道産(あるいは国産)小麦が品質面(そしてコスト面)で外国産小麦より上なんだと主張することは、今のところ強弁でしかないだろう。

 さてこの六花亭の広告に対して2007/05/23、同じ『北海道新聞』夕刊のコラム「花畑通信」で田中義剛が「反論」を書いている。これもネット上では残っておらず、「六花亭vs.田中義剛の道産小麦バトル」(北海道独立義勇軍:Butch隊長ブログvol.2)さんが抜粋ではあるが、紹介してくれている。
 

「『社長の思い』を読んで 「出番がない」に苦い思い/一体、その真意は何?」

 先日の北海道新聞に道内大手菓子メーカーが「社長の思い」と題した広告を載せていた。その中に気になる部分があったので、酪農家として一言いいたい。(中略)素晴らしい小麦を使って、味を追求するのはけっこうだ。だが、気になるのは次の部分だ。《残念ながら、今のところ、私どものお菓子には道産小麦の出番はありません》オレの住む十勝管内中札内村には、百五十軒以上の畑作農家がいて、みんな小麦を作っている。昔から土づくりにこだわって一生懸命に取り組んでいる。そこに「出番はありません」と言われて、友人の一人は嘆いた、「生産者の苦労がわかっていないのだろうか」(中略)「出番がない」という言葉に、オレは苦い思い出がある。青森から北海道に来て、二十二歳で札幌のラジオのオーディションを受けたとき、若いディレクターに言われた。「つまんないよ、あんたの出番はないな」中略)今回の広告を読んで感じることはいろいろある。北海道を代表するお菓子が、実は道産小麦でなく北米産小麦だけで作られているということを知って、意外な気持ちになった人もいるのではないか。お土産にするときに、迷うことはないか。畑作農家の中に「われわれのことを応援してくれないのか」と感じる人がいるだけではないと思う。読んだ人をこんな複雑な思いにさせることを、わざわざ広く知らせる真意はどこにあるのだろうか。

 
 また、田中義剛は花畑牧場のウェブサイト内の「北海道・十勝発 花畑牧場通信」の2007/05/21、29の更新分でも、同じ話題について書いている。
 現在、サイトではこの記事に限らず過去の「花畑牧場通信」は削除されているが、InternetArchiveに残っていたので資料的な意味も含めて全文をここに引用しておく。
 

六花亭の広告「社長の思い」を読んで、酪農家田中の意見
07/05/21

この花畑通信が載る水曜日の北海道新聞の1面に、北海道の菓子メーカー六花亭の「社長の思い」と題した広告が載っている。5月16日付けの夕刊1面に、六花亭の社長が書いた文章を読んで驚いた。
それは「北海道産の小麦使用」について書かれていた。その中で、疑問に感じる部分を原文から抜粋する。
    ~六花亭・社長の思い~
「納得のいくお菓子をつくろうと思えば、当然、原材料の厳選から始まります。私どもは、
それぞれの製品に適した原材料を世界中から探し、使い分けています。
例えば、マルセイバターサンドのビスケットに使う小麦粉は、北米産です。一方どら焼きには九州産小麦。
残念ながら、今のところ、私どものお菓子には<道産小麦>の出番はありません。
地産地消にこだわりすぎて、製品のおいしさをないがしろにしては本末転倒だと思うのです」

これが、六花亭社長の本音であるとすれば、問題である。
北海道で一番影響力のあるメディア・北海道新聞の、しかも1面で、「北海道の小麦は、レベルが低くて、六花亭では使わない」と広告していることになる。しかも、六花亭は世界中から食材を集めている優秀なお菓子屋であることを広告するために、北海道の小麦を、ダメな例えにしている。六花亭は十勝にある。その中で、六花亭の代表菓子「マルセイバターサンド」の工場は、オレの村である中札内村にある。そこで使われている小麦が北米産の素晴らしい小麦であるのは構わない。そして六花亭が味を追及するのもいい。だが、我が中札内村は、畑作で成り立っている村だ。六花亭の工場の周りには、150軒以上の畑作農家がいて、みんな、小麦を作っている。昔から、土作りにこだわって、一生懸命作っている。その農家の人たちを、軽視するように、「六花亭のお菓子には、道産小麦の、あなた方畑作農家の、出番はありません」と言い切った。
そんなに道産小麦がダメなのか。
そんなことは無い。十勝を代表するパン屋「ますや」さんは、道産小麦を使っておいしいパンを出している。最近、さらにいい小麦が生産者の努力で作られ、いろんなお菓子になっている。それを六花亭の社長は全否定した。
「道産小麦の出番はない」と言い切る根拠はなんだろうか。
北海道を代表するお菓子屋なら、「今は、使ってないが、いつか北海道の小麦を使ったお菓子を作りたい」というのが、地元企業の役目だろう。
何故に、北海道小麦の未来の可能性まで否定するのか。
オレは、テレビの番組でいろんな物を食べる。メディアで食べ物を紹介する時、一つだけ守らなくてはいけないルールがある。それはその食材を絶対に、けなさない事だ。どんな食べ物にも、作った人の思いがある。作物には作った人の苦労がある。それを、メディアで紹介して、「まずい」といったら、相手は傷つくだろう。
うまい、まずいは個人の主観だ。それを相手に押し付けるのはただの「傲慢」だ。
今、北海道の農業は、危機的な状況にある。オーストラリア産の安い農作物が入ってきたら、価格で北海道産は負けてしまう。だからこそ、今、「道産ブランド」を作ることに農家も農協も生き残りをかけている。農家の経済状況も決して楽ではない。酪農にいたっては、赤字経営になりつつある。全ては、農産物の価格低迷が原因だ。それを何とかしようと、微力ながら、オレはテレビショッピングで「北海道産」を売っている。
六花亭は北海道の3大菓子メーカーのひとつだ。
会社として、利益も影響力もある。ゆえに六花亭には誰も意見を言えなくなっている。
これでは、どっかの国の「将軍様」だ。

オレは、青森から北海道に来て、夢をかなえたかった。22歳で札幌のラジオのオーディションを受けたとき、若いディレクターに言われた。「つまんないよ、あんたの出番はないな」。オレは傷ついた。
「出番が無い」という言葉は、強い立場の人間が弱い立場の人間を見下す時に使う言葉である。弱者の痛みがわからない人間が、平気で言う言葉だ。そして言われたほうは、
当然傷つく。
オレは北海道の酪農家として、北海道の農作物を軽視されるのは許せない。同じ村で小麦を作っている農家の友人はこう嘆いた。「同じ村で、何故こんな事を言われるのか。生産者の苦労がまるでわかってない、悲しいことだ」。
今回の、六花亭「社長の思い」を読んで、解ったことが2つある。
1つは、北海道を代表するお菓子「マルセイバターサンド」は、実は北米産の小麦だけでできていること。
もう1つは、作っている会社の社長は地元農家を応援する気持ちがまるで無いこと。
こんな事をわざわざ広告まで出して言うなんて、どうかしている。
それでも北海道の人はお土産に買い続けるのだろうか。

 
 そしてその1週間後にはこう↓書いている。
 

北海道限定ブランドの意味
07/05/29

先日放送されたテレビ東京系のドキュメント「ソロモン流」の、オレが出た回の視聴率が発表された。なんと、番組が始まって以来の最高視聴率「9,4%」だった。(関東調査、北海道は10%以上)
ソロモン流は、番組が始まって3年。数々の有名人、実業家が登場した。その中で今までの最高視聴率は北海道出身、ドリカムだった。その記録を今回オレが大きく上回ったのは、大変嬉しいことだ。
ソロモン流の視聴率は個人の責任視聴率だ。一時間、本人だけのストーリーだから、逃げようが無い。今回オレは、覚悟して出演を決めた。正直、最高の成績を取ってホッとしている。
放送後、沢山の意見をいただいた。
牧場経営にチャレンジしている姿に共感していただき、励ましの言葉を沢山いただいた。本当にありがとう。番組に紹介されたおかげで、「花畑牧場生キャラメル」「カチョカバロ」は売れすぎて、生産が追いつかない状態になった。

今回の高視聴率の要因は、北海道が舞台になったといことが大きい。やはり、本州の人にとって北海道は、憧れの地なのだ。
先週書いた、北海道を代表する菓子メーカー「六花亭の社長の意見広告」に対するオレの反論が、波紋を呼んでいる。
六花亭社長が北海道新聞の自社の広告の中で「おいしいお菓子を作るためには、北海道産の小麦の出番はない」と言い切った。そして六花亭のお菓子マルセイバターサンドは、おいしさを追求するためアメリカ産小麦を使っていると公表した。オレは、北海道の小麦を「六花亭の使うレベルでない=おいしくない」と自社の広告で軽視したこと、頑張っている北海道の畑作農家のモチベーションを下げる発言をしたことに反発した。
それを見た本州の人の反応はすごかった。

まず、旅サラダで競演している向井亜紀に六花亭の記事を見せた。彼女は昔からの六花亭ファンである。向井さんのコメント。「六花亭の包装紙は、大地、自然を愛しているという、姿勢の表れではないのか。北海道の小麦に出番はないというのではなく、出番は作るものではないのですか?地元の小麦農家さんと力を合わせて、すばらしい菓子ができるのを期待する」
どさんこワイドの料理研究家、星澤幸子先生のコメント。
「六花亭というトップ企業の意識の無さを嘆いています。北海道を応援するという同じ考えの物同士スクラムを組んで、北海道を力あるものに変えるいいきっかけになる」
その他にも、同じ事務所のタレントさん(匿名希望)のコメント。
「北海道のものだからと信じて買っていたのに、裏切られた、もう買わない」

要約すると、
「え~、六花亭って、北海道のお菓子屋でしょう、なのにアメリカ産の小麦?ショック」
このような意見だった。
六花亭を始め、北海道の菓子メーカーは北海道限定と銘打つ。そこにどういう意味があるのか。本州の人は「北海道限定商品」にどんなイメージを抱くだろうか。
北海道だけでしか売ってないというこだわりに、当然、「たくさん作れないから」とか
「北海道の食材を厳選しているから」とか勝手にいい方に理解するだろう。その土地でしか買えないものに価値観を感じるのは当然のことだ。
しかし、北海道限定の代表である六花亭が自ら「北海道産の小麦は使ってない」といっている。ならば、お客さんにももっと解り易くするべきだ。オレが違和感を感じるのはお菓子のネーミングだ。いかにも「北海道」「十勝」を売り物にしたネーミング。
お客さんは、その名前の響きに、当然その土地の食材を使って作っていると勘違いする。
だが実際は、北海道のイメージだけ売っておいて、中身は北海道産のものは使ってない。
消費者重視ならば、商品に堂々と解り易く、「アメリカ産小麦使用」と表示してはいかがか。
「社長はおいしさを追求するために北海道産小麦は使いません」とコーナーに看板を付けたらお客さんは正しい判断ができるだろう。
大半のお客さんは「六花亭は北海道産のもので作っているからおいしい」
と思っている。だから北海道限定なのだと思っている。実はこの広告を読むまで、十勝の地元に住むオレもそう思っていた。
消費者心理を利用するだけの「北海道限定ビジネス」はやめるべきだ。
北海道限定としたほうが売れる。この理由だけで安易にやるのは、北海道の価値を下げる行為だ。以前、本州の北海道物産展でも、北海道で作られてない物が堂々と売られて偽装事件が問題になった。
関係機関も北海道ブランドを守るために、牛肉、乳製品以上に、お菓子の「産地表示」を強化すべきだ。
テレビの世界は「あるある大辞典」の偽装事件から、食品の中身、表現の仕方が特に厳しくなった。それだけ、消費者の目が厳しくなったからだ。

自社の北海道向けの広告では、「おいしさを追求するため、北海道産小麦は使わない、アメリカの小麦使用」と断言する。それでいて、お菓子の名前は「大平原」とか「雪やこんこ」とか、いかにも北海道、十勝を連想させる名前をつける。
うまいな~。でも今のテレビでこれは通用しない。
最後に、六花亭の「社長の思い」の広告ですごい発見をした。
マルセイバターはアメリカ産小麦だ。北海道の小麦はレベルが低くて出番が無いと散々言っておいて、最後に六花亭のキャッチコピーが出ている。
「お菓子は大地の恵みです・六花亭」
これってギャグか?どこの大地?まさか北海道じゃないよな。欧米の大地か?
だって北海道の大地の恵みがひとつも入っていない。
ほとんどが外国産の原料を使って、「お菓子は大地の恵みです」なんていう言い方は、消費者を北海道産と勘違いさせる偽装広告か?
公正取引委員会の見解を聞きたい。

 
 正直、この2つの田中義剛の文章にはツッコミどころが多すぎてほぼ断念だ。私がこれから言及しない部分も、それはツッコむところじゃないと判断したのではなくツッコミをあなたに任せたと思っていただきたい。

 最後あたりの「偽装広告か?公正取引委員会の見解を聞きたい」という話は「田中義剛の生キャラメル、販売方法が悪質と非難の声」(探偵ファイル)などで突っ込まれている(花畑牧場の生キャラメルの原材料は海外製がいっぱいというお話)から、まあまさに「お前が言うな」で終わる話なので深くは突っ込まないでおく。

 それにしても田中義剛といい『毎日新聞』といい、これって、単なる言いがかりじゃねーか。

 『毎日新聞』の記事に関しては上記の「六花亭の社長の北海道の農民に唾を吐く発言 小田豊 田中義剛 」(松浦淳のブログ)さんが記事そのもののスキャンも紹介してらっしゃるので、これをレイアウトがわかるように示してみる。


文面は上記に紹介済み

 このレイアウト、悪意がないとは言わせない。
 何やってんだ『毎日新聞』。大スポかお前は。

 「道産小麦の出番はない」「地産地消を疑問視」「生産者「ショックだ」」って。

 もうね、まともな記事じゃないだろこれ。
 「地産地消を疑問視」? 悪いのかそれ。
 もし六花亭社長の言い分に反論したいなら、「地産地消にこだわりすぎて、製品の「おいしさ」をないがしろにしては本末転倒」ではないという根拠を示すべきであって、「こいつ、地産地消を疑問視してるぜ~~~!」と囃し立てたところで何にもならんだろう。

 ここで問題にされている、「菓子に一番合う小麦がない」という問題に、誰ひとりまともに向き合っていない。ここで六花亭社長は自社の菓子の話しかしていないが、本来、「地産地消」とやらを目指している農業従事者であれば、この社長(まさに小麦の大消費者)の言葉は誠実に真っ正面から受け止めるべき大きな課題のはずだ。

 にもかかわらず、「残念ながら、今のところ、私どものお菓子に道産小麦の出番はありません」という言葉尻を持ち出して、

「十勝の農家は品質向上のために一生懸命努力しているのに、高慢な表現だ。六花亭は大企業なので生産者は表立って口に出せないが、傷ついている」(田中義剛)、
「昔から土づくりにこだわって一生懸命に取り組んでいる。そこに「出番はありません」と言われて、友人の一人は嘆いた、「生産者の苦労がわかっていないのだろうか」」(田中義剛)、
「農家の人たちを、軽視するように、「六花亭のお菓子には、道産小麦の、あなた方畑作農家の、出番はありません」と言い切った」(田中義剛)、
「最近、さらにいい小麦が生産者の努力で作られ、いろんなお菓子になっている。それを六花亭の社長は全否定した」(田中義剛)、
「何故に、北海道小麦の未来の可能性まで否定するのか」(田中義剛)、
「マルセイバターはアメリカ産小麦だ。北海道の小麦はレベルが低くて出番が無いと散々言っておいて」(田中義剛)
「『出番がない』というのは『眼中にない』と言っているのに等しく、生産者としてはショックだ」(生産業者)、
「道産小麦を否定」(毎日新聞)……

 って。
 おいおい。特に、

「残念ながら、今のところ、私どものお菓子に道産小麦の出番はありません」(六花亭社長)

 に対して

「何故に、北海道小麦の未来の可能性まで否定するのか」(田中義剛)

 って。そりゃいくら何でも、……バカですか?
 この六花亭社長の言い方は、むしろ田中義剛が「北海道を代表するお菓子屋なら、「今は、使ってないが、いつか北海道の小麦を使ったお菓子を作りたい」というのが、地元企業の役目だろう」という、その役目をそのまんま表現しているんじゃないのか。

 田中義剛に聞いてみたい。六花亭が使っている小麦粉の輸入元の国、あるいは九州の小麦農家は努力や苦労をしてないとでもいうの? 「昔から土づくりにこだわって一生懸命に取り組んでいる」なんてこと、アメリカ・カナダの農民だって九州の農民だって、やってるんじゃないの? 努力しているのは自分たちだけなの? いや、そういう「自負」はいいよ。きっと誰しもそう思っている。しかし現実的に北海道の生産業者がその「努力」にもかかわらず(少なくとも六花亭の菓子の)ニーズに合った小麦を作れていないことは事実だろう。
 プロフェッショナルが、出てきた品質ではなく「努力」を評価しろと言うことのみっともなさ。品質を冷静に評価されて「傷ついた」と詰め寄ることの情けなさ。「生産者の苦労」なんてどこだってしている。そんなもんは当たり前の前提じゃないか。

 「地産地消」って言葉は、足りない品質の上げ底に使うオマジナイか何かか?
#実際、六花亭社長は「地元の良質な作物を使う事は大いに結構ですが、ときに「地産地消」をイメージだけで使っているのではないか、と首を傾げることもあります」と、見事に看破している。

 だとしたら彼らにしてみれば、確かに「地産地消を疑問視」されては大問題だろうな。
 品質で戦えないなら。

 でも、ほんとにいいのか、そんなことで。

 上記の「花畑通信」内の田中義剛のこの↓言葉に、私は本当に嫌な予感を覚える。
 

オレは、青森から北海道に来て、夢をかなえたかった。22歳で札幌のラジオのオーディションを受けたとき、若いディレクターに言われた。「つまんないよ、あんたの出番はないな」。オレは傷ついた。
「出番が無い」という言葉は、強い立場の人間が弱い立場の人間を見下す時に使う言葉である。弱者の痛みがわからない人間が、平気で言う言葉だ。そして言われたほうは、当然傷つく。

 
 そりゃどう考えてもディレクターの言い分が正しい。いくら田中義剛にとって苦い辛い思い出だろうと。

 ディレクターに課せられた使命は「面白い番組を作ること」であってこれがこの人の役割だ。22才のつまらない若造の傷つきやすい心を気遣うことではない。若造にとって自分の芸が商品であるのと同様に、ディレクターにとっては番組が自分の商品だ。若き日の田中義剛はディレクターの商品の質を高められなかったから出番がなかっただけのこと。
 田中義剛は「「出番が無い」という言葉は、強い立場の人間が弱い立場の人間を見下す時に使う言葉」と書いているが、そうじゃない。「出番が無い」という言葉は、出番を決める立場と責任を持つ人間が、自らの責任で判断し、使う言葉だ。ディレクターには面白い番組を作るという使命があるし、出番があるかないかはその目的に合った人間かどうかで決められる。
 ここで「出番」を得るには自分が面白くなるしかないじゃないか。それを、「傷ついた」って。そのディレクターに見下され、弱者の痛みを味わったのだと。え? そこなの?

 こういう、プロフェッショナルとしての品質とは別のところで勝負しようとするから、「傷ついた」「ショックだ」なんて言葉が普通に出てくる。
 実際、この言葉を武器に使う奴にロクな奴はいない。単なる表面上のコミュニケーションを問題にすることで本題から目を逸らしているだけ…しかも相手の良心や倫理観を利用して自分に有利に話を運ぼうとする。性根が腐ってる。

 いやごめん、言い過ぎた。
 本当に傷ついて、そのために闘っている人がいることは知っているし、それを「ロクな奴じゃない」というつもりは毛頭ない。単なる表面上のコミュニケーションを問題にすることで本題から目を逸らすためにそういう表現を使う奴がダメだと言っている。

 この田中義剛のエビソードは、まさにこの「論争」の本質を表していると思う。
 自らの能力を棚に上げたヒガミや甘えばかり。北海道は品質ではなく「北海道」ブランドに甘えた商品作りをしますという宣言かこれは。

 まさかとは思うが、こんな体質が北海道の小麦業者に蔓延してるんじゃないかと(勝手に)想像すると、本当に暗澹たる気分になる。

 周知のごとく、国内の小麦生産は外国に比べて圧倒的にコストが高い。そのまんま市場原理に任せると国内の小麦農業は滅びてしまうので、国内産業保護のために小麦の流通は国が管理してきた。
 輸入小麦は政府が一括購入し、それにマークアップ(政府管理経費及び経営所得安定対策費)を上乗せして製粉業者に売り渡す。この上乗せされたお金が、国内産小麦の売り渡し価格を下げる原資に使われる。そういうやり方がずっと続いてきた。
 国内の小麦農業は、ずっと国によって保護されてきた。
 その中で、国内小麦農業の自立に向かって、コストの削減、品質の向上に打ち込んできた、はず。ならばそこにあるべきは、国の補助を無駄にせずこれだけのものを作り上げて来たという実績&自負か、あるいはまだできてないけど頑張るよという意欲と謙虚さではないのか。

 この社長の話に真っ正面からの反応するとすれば、「よし、じゃあそっちから頭を下げて売ってくださいって言うような小麦を作ってやるぜ」あるいは「いや、品質はいいんだ。知らないだけで。是非これを一度、使ってみてよ」みたいな、小麦の品質に切り込んだ話になるはず。
 あるいは「いや違う。たとえ品質を落としたとしても、道産の小麦を使用するとい付加価値によってトータルでは商品価値が上がるんだ」といったことを理路整然と説くことだ。これはもともと社長が否定した考えだからして、それを「いや違うんだ」とちゃんとした反論を加えることができれば、これもまた社長の言い分に対する、真っ正面からの誠実な反応ということになるはず。

 ところが残念ながら、『毎日新聞』も田中義剛も生産業者も、「地元の食材に愛情を込めてほしかった」という農大教授も、誰ひとりとして北海道産小麦の一層の品質向上が要請されたとは受け取らなかったし、そう奮起もしなかった。「地産地消」とやらがどうして疑問視すら許されない絶対善なのかを説明することもなかった。
#あ、農大教授はちょっと品質向上について言っている。

 やったのは、「面白い番組を作るために面白い人を使いたい」と言ってるディレクターに、「つまらなくても地元出身者だから出してくれよ、おかしいじゃないか地元出身なのに、だって地元出身なんだよっ!? どういうことだよ、おかしいよあいつ絶対! オレ、傷ついたよ」と言いがかりをつけるようなことをしただけだ。

 ほんと、ダメな反応だと思うし、『毎日新聞』の記事は六花亭が『毎日新聞』ではなく『北海道新聞』に広告を出したからスネたんじゃないのか、といった憶測すら浮かばせるほどの牽強付会だった。

 国内の小麦生産のうち、北海道は65%を占める。日本の小麦生産の拠点と言っていいだろう。
 だから。
 そんなことくらいで傷つくな。
 六花亭は年間売上約170億円の企業だ。そこに納入できるようになればこれは大きな大きなビジネスになるだろう。
 ならば、傷ついたと逆ギレしたり「北海道産を使わないのはおかしい」などとヤクザの言いがかりみたいな理不尽なことを言わず、ニーズに合うものを作るようにしてくれ。それが商売なんだから。
 例えばオーストラリアは日本のうどんにターゲットを絞った品種開発をしたり、ニーズに合ったものを作る努力をしている。努力はどこだってやってるんだ。

 「北海道産だから、使え」がどれほどおかしくて傲慢か、そして自らをスポイルする悪魔の言葉か、本当に判らなくて言ってるわけじゃないでしょ?

 で、最後はやっぱりラーメンの話にも絡ませる。これまでも何度か書いてきてるけども、最近、ラーメンの麺について「国内産小麦(内麦)使用」という売り文句がかなり目立つようになってきた。

 しかしわざわざ内麦使用を声高に謳うわりには、なぜそうなのかをちゃんと示している店や業者はほとんどない。

 ラーメンに使われる小麦粉は中力粉、強力粉だが、国産の小麦は含有グルテン量が少なく、オーストラリア、北米産の小麦に比べれば(少なくともラーメンの麺には)不向きといわれている。もちろんブレンド含めて個別のやり方があるから完全に向かないとは言わないが。

 何人かの製粉業者、製麺業者、ラーメン店主に話を聞いてみたが、ただ1人を除き、全てが「[国産が安全・安心|何となくいい]というイメージ」のためだと答えた。

 だから「国産小麦使用」とは書いても、なぜそうなのかは書かない。
 読む方が勝手にいいイメージを抱いてくれるから。
 嘘はついていないし強弁もしていない、と。

 つまらないねえ。

 国産小麦は、「質は大したことないけど、近くで作ってるんだから使おうよ。これよりよくて安い外国産のもあるけど、そっち使うやつは「地産地消」を疑問視する非国民だ!」なんて運動の中でしか生き残れないの? 米みたいに、「やっぱり○○産はうまいね。これだったら他よりいくらか高くても買うよ」みたいなことはもう、きれいさっぱりあきらめたの? なかよしサークルでそういう商売でやっていくの?

 で、マスコミはそれを後押ししちゃうの?

 どうなの? 毎日新聞。

 なお、内麦使用について「[国産が安全・安心|何となくいい]というイメージ」のためだ」と答えなかった例外の1人は、要望を伝えた業者が持ってきた候補の中で一番目的に適っていたのがたまたま国内産だったと言っていた。だからもちろん「国内産小麦100%」なんてアピールもしていない。

 おまけ。

 田中義剛の文章にある「北海道3大菓子メーカー」とは石屋製菓(白い恋人)、六花亭ロイズだそうだ。

 前述の田中義剛の『北海道新聞』上のコラム(別の回)によると、この3社で千歳空港での菓子類の土産物の売り上げの95%を占めるのだという。へえ。

 上述の通り六花亭は年間売上約170億円。確かに大企業だが、同等、それ以上の企業は北海道にだってたくさんある。その規模の会社を、

「会社として、利益も影響力もある。ゆえに六花亭には誰も意見を言えなくなっている。これでは、どっかの国の「将軍様」だ」

 というのなら、北海道は将軍様だらけだな。
 相手を「将軍様」だの「ヒトラー」だのと呼ばわることで何らの批判を加えたつもりになるような奴は、それだけでもう議論に値しない。

 いやほんと、ググってみて、この件について言及しているブログの大半(ほとんど北海道の人。まあ「論争」そのものが『北海道新聞』紙上だから)が田中義剛寄りの意見だったことにショックを受けた。

 傷ついたよ。

 あ、うそだよ。

 北海道民の地元愛だけは解った。

 とにかく私は六花亭社長の文章の何が悪いのか、さっぱりわからない。

突然食いたくなったものリスト:

  • ラッキーピエロの酢豚バーガー

本日のBGM:
Sing a Song /松山千春






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