とうとう出てきた「つけ麺コンサル」。
あるラーメン店にDMが送られてきていた。
この人たちは苦しいラーメン店の救世主か? それともなけなしの金を搾り取ろうとする、無責任なハイエナか?
……なぁんて書いてみたけど、この手のDMは腐るほど送られてるんだよね。つけ麺に的を絞ったのは初めてってだけで。
救世主がそんなにたくさんいるならいいけどねええ。
11月に東京・大阪で「本当に売れるつけ麺」セミナーが開かれるそうですよ。
#さらに参加者得点として、1万円プラスで「経営相談」と「コンサルタントと行く『無料 繁盛つけ麺店ツアー ※交通費・飲食代自己負担』」がついてきますってば。
とりあえず誰か、19,800円払って話を聞いてきてくれないか?
表面(表紙?)。
こういう↓ことが書いてある。
業界初 本当に売れるつけ麺 売れない店が売れた”つけ麺の条件”とは!! ボリューム&濃厚スープ |
だそうですよ。
「ボリューム&濃厚スープ は当たり前!」
ですかそうですか。
裏面は、最近DMによくある、1枚モノの紙なのにめくれるようになっていて記載面積が稼げるようになっているタイプ。
「あなたのお店はどちらですか?」
真ん中に「あなたのお店はどちらですか?」とあり、「←めくってください→」と書かれている。その左右それぞれに
「つけ麺店主の方こちらをどうぞ」
「ラーメン店主の方こちらをどうぞ」
の文字が。つまり、あなたの店に合わせてめくってくれと。それぞれの文字の下に「新規客獲得」「リピート率UP」の文字と、イラストが描かれている。
とはいえ、こう書かれていても両方めくってしまうのが人類普遍の人情というものでしょう。
「つけ麺店主の方こちらをどうぞ」
「ラーメン店主の方こちらをどうぞ」
つけ麺店はつけ麺で「新規客獲得」、ラーメン店はつけ麺で「リピート率UP」ということだそうです。
はい。
へえ。
で、その更に下には、「濃厚先生のワンポイント講座」なるものがある。
まず、つけ麺店主側のワンポイント講座はこうだ。
つけ麺はまだまだ専門店が少ないのでポイントをしっかり押さえれば売れるビジネスです。業界としても成長期の段階ですので、これからもっと伸びる可能性を秘めています。 |
まぁ、その通りだと思う。
しかしそういうのをそそのかす?のはいかにもコンサルですな。
ラーメン店主側のワンポイント講座はこう。
今やラーメン店でつけ麺があるのは常識化してきたが 冷し中華がわり と見ている店が多い。つけ麺はきっちり強化すればリピート率アップに貢献できる商品ですのでラーメン業界を低迷から救ってくれる救世主です。 |
つけ麺に気合い入れたらリピート率アップってのも、きっと正解だろうなあ。
ただ、私は「冷し中華がわり」なんて考えてる店は見たことないけどね。東京ではそういう店が「多い」のだろうか? 現状分析的にどうかとも思うが、まあ、あるというからにはあるんだろう。
でもさ、「夏に売るなら、仕掛ける必要がある。春や夏に準備しても遅い!」なんてフレーズを見ると、「冷し中華がわり」って考えてるのはお前自身だろ?と突っ込みたくもなるわな。(^O^)
なんか進研ゼミのDMみたいだ。
で、めくってみる。
まず、つけ麺店主側。
「つけ麺店を出店すれば売れる時代は終わった!」
つけ麺店を出店すれば売れる時代は終わった!
2005年の「つけ麺維新」以降、つけ麺専門店の数は増加の一途をたどっています。我々はそんな状況を「つけ麺バブル」と呼んでいます。つまり、出店し、お客様の認知度をあげれば、今は売れます。つけ麺は成長期だからです。しかし、5年後にも売れる店になる為には、確かな差別化戦略が必要です。次のポイントが必要になります。 1 おいしさ感を表現している。 以上の3点は、必ず抑えて(ママ)ください。特に「おいしさ感」は大切です。弊社の提唱する「おいしさ感マーケティング」は、もうすでに東京都心部・大阪・地方の大都市等でも必要になってきています。異常な早さで移り変わるこの業界では、5年前の繁盛店の本がまったく通用しません。情報が古いのです。そのスピードとお客様のニーズに応えるには、一早く地域において売上の高い地域一番店になる必要があります。 |
うーむ。
「弊社の提唱する「おいしさ感マーケティング」は、もうすでに東京都心部・大阪・地方の大都市等でも必要になってきています。異常な早さで移り変わるこの業界では、5年前の繁盛店の本がまったく通用しません。そのスピードとお客様のニーズに応えるには、……」
コンサルがおらんとこれからお前らやっていかれへんぞ、ってか? (^^;;
「つけ麺店を出店すれば売れる時代」という時代があったんですか。いつだそれ? 東京での話だろうか? そういえば京都のろぉじとか豊中の麺野郎はつけ麺専門店か。売れてるみたいだし、それはそれで正しいのかな? よくわからん。
しかしさらによくわからんのが「2005年の「つけ麺維新」」とやら。何の説明もなく出てくるフレーズだが、これは単に私が知らないだけ?
で、試しに「つけ麺維新」でググってみた結果が、これ↓。
そんな言葉、ないようですが。(^^;
コンサルは言い切りゃ勝ちですかそうですか。
まあ最近つけ麺がブームであることはその通りだとは思うから、いいけどね。2005年からなのかどうかは記憶にない。
「つけ麺バブル」ってのも、まあその通りかもしれないと思う。急速に市場が拡大していることは確かだろう。
しかし何というか。「確かな差別化戦略」のために必要なポイントとされている、3点、
1 おいしさ感を表現している。
2 安心感ある店づくり。
3 どこにも負けない一番を持っている。
これって、つけ麺でないと言えないことですかね?
正直、どんな飲食店にでも当てはまることで、何か言ってるようで実は何も言ってないのと同じ気がするのは気のせいですか?
別に間違っていることを言ってるわけじゃないと思うけど、何だろうな、これでカネ取ろうってのか?というちょっとした疑念を感じちゃうんだわ。
次、ラーメン店主側のをめくってみる。
「チャンス到来!つけ麺強化でV字回復!」
ここにはこんな文字が躍っている。
チャンス到来!つけ麺強化でV字回復!
ラーメン店は現在飽和状態になりつつあります。そんな生き残りの厳しい業界でつけ麺は救世主的な存在です。そのつけ麺の強化具体策をセミナーでズバリお話します。 スープ 盛り付け 具材 器の選び方 麺 これらの商品の強化方法と売り方を説明します。つけ麺はこの商品計画が大きなポイントです。やり方次第では売上を下げる危険もあるのです。その対処法をセミナーでは具体策をお伝えします。(ママ) |
ほう。売れるつけ麺を教えてくれるんですか。
このあたりになるといかにもコンサルらしい。
「ラーメン店は現在飽和状態」なんてのはそれこそ10年前から言われ続けてるよ。これも何も言ってないことと変わらない。単に売上の落ちてる店に焦りを感じさせる以上の意味はないフレーズだ。
まあつけ麺ファンから言わせて貰えば、「麺だけでも話題になる!」って、当たり前じゃ! つけ麺を何だと思ってるんだ、と。(^O^)
しかし、確かにいろいろ興味深い。
特に「スープの濃度や塩分濃度には法則がある」だとか、「チャーシューの大きさやg(グラム)に大きな秘密があった」だとかは、もしもあるならぜひ知りたい。19,800円はちょっとアレだから聞きに行けないけど。
まあこれまで↑の私の文章で私がこのDMにあまりいい印象を持っていないことは伝わってると思うけど、しかし何というか、難しい話だなぁとは思う。
このコンサルに頼ることで、もし傾いたラーメン店(つけ麺店)の経営が持ち直すなら、それはすなわちその店が客に支持される商品を提供できるようになった(いい商品を出すようになった)ということで、客としては歓迎すべきことのような気もする。
しかし逆に、以前「南大阪のつけ麺、夢のコラボっっっ!」の前半に書いたような、それぞれのラーメン店主の努力によって今の大阪のつけ麺ブームがあると考えれば、東京のコンサルが、そういう現場の店主の真摯な努力の成果の上前をはねるように一儲けしようとしているだけのようにも見えてしまう。ブームになってるつけ麺でいっちょ儲けてやろうか、と。
うーん、難しい。
でも、やっぱりこの、後者の思いが強いかな。
表紙にある「ボリューム&濃厚スープ は当たり前!」なんてフレーズなんて、なんだその安易な決めつけは?という感じで、店も客も馬鹿にされているような気がしてしまうのだ。
言い方は悪いが、
「量を多くして濃厚スープを出してれば客は喜ぶのよ♪ ちょっとしたツボを押さえりゃそんなのカンタン。それ、教えてやるから」
みたいに言われてるような気がしてね。
そういえば比較的最近につけ麺を始めた店で、似たような味のつけ麺を出すところが増えてきたような気がする。食べてて、
「あれ? これ、どこかで食べたよな……」
と思うことが多くなった。
味が違っても、構成が似ているつけ麺まで考えれば数はかなり多くなる。
(例えばつけ汁は 動物系・脂かなり多め・魚介だしも入ってWスープ・魚粉・甘め・[酢] あたり)
似たような構成になるのは、まさかこいつらの話を聞いたからだろうか? だったらガッカリだ。
突然食いたくなったものリスト:
- 焼きそばUFOをイタリアンドレッシングでつけ麺にして
本日のBGM:
Shake! /MUNEHIRO
最近のコメント