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架空のノスタルジー

 先日、またtwitterのオフ会(「関西モフ会」)があったのだが、その時、最近函館からこちらに越してきた頓服さんから聞いた話。
 
 00年代半ばに全国でラーメンテーマパークが流行した時、ご多分に漏れず函館にもできたそうだ。
 名前は言ってなかったけど、きっとこれ↓だろう。
 
函館湯の川温泉 らーめんブギ


 サイトは存在しているものの、上部に表示されているように2008年3月で営業終了している(その後、ラーメン特化をやめて「ブギウギ横丁」として8月まで営業したらしい。なんばパークスの「浪花麺だらけ」と似たような展開かな)。
 2005年6月3日オープンだそうだから、3年持たなかったということね。
 他のラーメンテーマパークと同様、悲しい過程を経てフェイドアウトしていったらしい。
 
 ラーメンテーマパークについて以前書いたことがあった(「Screams From The Grave」)。そこで紹介したところもそうだったのだが、どうにも、みんな似たようなものばかりだった。みな判で押したように「昭和の町並みを再現」しちゃってるのだ。それはもう、ラーメンテーマパークは昭和ノスタルジーでないとバチでもあたるんですか?と思うくらい。おそらく横浜のラーメン博物館を手本にしたのだろう。なんせ成功例だから。
 
 この時代のラーメンテーマパークブームではナムコが多くの施設をプロデュースしていた。「函館湯の川温泉 らーめんブギ」もその1つ。
 このサイトによると「昭和20~30年代のガード下の飲食街風の店内だそうで、こういう所でナムコが買収した「日活」の映画セット作りのノウハウが生きている模様。」と。なるほどね。
 「函館湯の川温泉 らーめんブギ」オープンから3ヵ月後(2005年9月)、ナムコは日活の株式を手放しちゃうんだけどね。いらん情報ですが。
 
 ……ただ、似ているとはいえすべてのラーメンテーマパークに、それぞれ独自のストーリーがある。
 
 らーめんブギのサイトには、
 

湯煙の町
北の大地の南部には、世界に開かれた古くからの港町がありました。その港町には病に効くと評判の不思議な温泉の川が流れていました。だからこの町には北の大地ばかりか、広く大陸からもたくさんの人々が訪れました。町のあちこちでは湯煙が立ち昇り、町のあちこちでは人々が笑いあう…。
ここはそんな素敵な街なのです。

 
 とある。
 このテーマパークはナムコがプロデュースし湯の川観光ホテルが運営していたので、温泉が話の中に出てくるのは当然のことだ。
 なのでまあ、それはいい。
 
 しかし頓服さんによると、らーめんブギはあまりに残念なラーメンテーマパークだったと。
 
 先ほど引用したように、ここは「昭和20~30年代のガード下の飲食街風」の演出がなされていた。
 
 しかし。
 
 なんと。
 
 函館にはガード下は存在しない
 
 という。(>_<)
 
 !!!
 
 なんと驚きの事実じゃないか。(^^;
 
 そんな土地で「昭和20~30年代のガード下の飲食街」を再現されてもそこにノスタルジーなんて抱きようがないわけだ。
 東京からわざわざプロデューサーを招いて、こういうことやっちゃう。
 
 頓服さんによると、函館は港町で一番活気があったのは北島三郎が「函館の女」を歌った頃。漁業に湧いていたそうだ。

 せめてこの時代の函館を再現すれば、少なくとも当時を知る函館の人が「古き良き時代」としてリアリティのあるノスタルジーを感じることはできたはずだと。
 
 なるほど。
 
 前述のようにこの「らーめんブギ」はホテルが経営していて、主なターゲットは宿泊客=函館以外からの客だという考え方もできる。地元の人がターゲットではないから彼らのノスタルジーに合わせる必要はないと。
 
 でもそうだとしたら、「観光客はわざわざその土地まで何を見に来るの?」って話にもなるよね。
 
 なんとも残念な話だ。
 
 最近はどの田舎町の風景もみんな同じようなチェーン店の看板ばかりでずいぶん均質化してしまった気がするが、昭和20~30年代はまだまだどこも「地方色」が強かった。それを、何とも安易に東京目線の「ガード下=昭和ノスタルジー」という図式を当てはめちゃうところが00年代のラーメンテーマパークブームの、何とも軽薄な側面を感じさせるじゃないの。
 ラーメンテーマパークが長持ちしない理由がそれかどうかはわからないけれどね。

 追記:
 その後、twitterで教えてもらった話。
 
 ここをプロデュースしていたナムコに限らず、もう1つのプロデュース会社ヴィジュアル・ジャパン(千里ラーメン名作座とか泉ヶ丘ラーメン劇場とか武蔵浦和ラーメンアカデミーとかラーメン国技館とかを手がけた)にしても、「設定の使い回し」をしてたそうだ。
 
 ナムコなら桑名らーめん街道(三重県桑名市)と明石ラーメン波止場(兵庫県明石市)が似ており、ヴィジュアル・ジャパンなら千里ラーメン名作座(大阪府豊中市)と池袋ひかり町ラーメン名作座(東京都豊島区)、泉ヶ丘ラーメン劇場(大阪府堺市)と千葉ワンズモールラーメン劇場(千葉市稲毛区)、ラーメン国技場 仙台場所(宮城県仙台市)とラーメン国技館 東京場所(東京都港区)がまったく同じテーマ設定だったとか。
 
 てことは、姫路城下らーめん宿場町(兵庫県姫路市)と小田原城下らーめん宿場町(神奈川県小田原市)が同じっちゅうことだわなあ。
 なんか、神経衰弱してる気分だ。
 
 結局、運営は別の、いかにも経営リスクを負わないコンサル的仕事ってことかな。
 いい商売だなあ。

突然食いたくなったものリスト:

  • 麻婆豆腐

本日のBGM:
Sign Of The Crimson Storm /RIOT





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