ラーメンガイドブック比較(加筆訂正版)

 先日お伝えしたとおり、<ま、ラーメンでも一杯。>を更新した。

 これを記念して?、過去(2006年末)に書いた記事にちょっと訂正など加えてもう一度上げておこうと思う。

 ラーメンのガイドブックの比較について。
 まあきっとこれはラーメンに限らず、いろんなガイドブックにあてはまる話だと思う。

#ラーメンは店の移りかわりが激しくて市場もそこそこ大きいから他より顕著ではあるかな。

 2007年度版のラーメンガイド本(関西版)2冊が出揃った。

 『関西版 噂のラーメン 2007』(日本出版社)と『たべあるきnavi 関西激うまラーメン』(昭文社)の2冊。

 昔は(毎年出ると言わないまでも)エルマガジンとかぴあとかからも出ていてもっと種類があったんだけど、この数年はこの2冊しか見かけないね。

 両方買うのは2年ぶり。

 私は2006年版を買いそびれたと思っていたのだけど、『激うまラーメン』はどうやら2年に1回の発行らしい。そういえば今回買ったものも「2007年度版」など「1年ごと」を思わせる記述はない。(^O^)
 『噂のラーメン』は毎年出てる。表紙にはちゃんと「2006」とある。
 前に買った(2005年版の)『関西激うまラーメン』は2005年中になくしちゃったので(^^;;、2006年は主に『噂のラーメン』と『KansaiWalker』(2006 No.4)の通巻300号記念特集号(関西のラーメン店300軒のリスト)を使って食べ歩きをした。

 こういう本は新しい店を見つける時にも使うけど、主な使い道はデータ取得にある。場所、開店時間など。
 なのでなるべくは新しいデータがほしいのですよ。

 で、1年間、『噂のラーメン』をメインに使って感じた……というか、昔から何となく感じていたもののメインにしてみて身に染みて実感したことがある。

 『噂のラーメン』と『激うまラーメン』の違い。

 この2冊、両方とも定石通り店の紹介、その店のお薦めラーメンの写真、電話番号、住所、地図、開店時間、定休日などの基本データが掲載されている。



『噂のラーメン』記事


『激うまラーメン』記事


 そういう意味では同じなのだが。

 しかし。

 2冊を比べると、『激うまラーメン』(昭文社)の方がガイド本として圧倒的に優秀なのだ。

 これはね、もう、『噂のラーメン』は『激うまラーメン』の足元にも及ばないと言ってもいいくらいの、雲泥の差。

 何が違うかというと、コンセプトというか、一体どういうつもりで本を作ってるんだという、心根が違う。

 伝統あるガイドブックにこう言ってしまってはナンだが、『噂のラーメン』は読者のことをあまり考えていない。「ラーメンガイド本は、ある部数は確実に売れる」という事実に甘えてるだけ。「(データが)あればいいだろう」という感覚。なので「新しい店を紹介する」以外に改善の余地がない。読者の使いやすさ(使いにくさ)に気がまわらない。

 反対に『激うまラーメン』は、かなり使う側の立場に立って作られている。これは発行元の昭文社が地図屋さんであることや、その絡みで他のガイドブックもたくさん手がけているという経験もあるのだろう。細かいところに気遣いがあり、この2者には超えがたいカベがある。

#本当は掲載する店についてもかなり差があると思っているが、それは今回は触れない。

 そう思わせる決定的な違いが2つ。
 たった2つだが、私は両者を一流と三流に分ける決定的な差だと思っている。

 別に両者に恩も恨みもないが、一流の心遣いをちゃんと賞賛しておきたいのと、三流が三流であることに開き直ってノホホンとしているのが腹立つので、ここに書いておく。

 具体的な指摘をする前に、こういう本の読者設定から押さえておこう。

  • こういうガイドブックを「わざわざ」買う人というのは、「わざわざ」ラーメンを食べに行く人である。
  • おそらくは「食べ歩き」をする人。
  • とはいえほんとに歩いていく人はあまりいないだろう(^O^)。交通手段は電車の場合もあればクルマの場合もある。
  • 「ハシゴ」もあり得る。
  • 基本的に「知らない店を知る」ために読む。(知ってる店ならこんな本なくても行ける)

 とりあえずこのくらいか。
 これを押さえた上で、両者を一流と三流に分ける点とは何か。

 それは、「地図」と「索引」。

 2点と言いながら結局は「検索の利便性」という1つの問題に収束するのだけど。

 初めての店を探そうというのはどういう時か、ちょっと考えていただきたい。

「ラーメン食いたいが、どういう店があるかね?」
「●●方面に行く/いるんだけど、近くにいい店がないかな?」

 こういう時、一番大切なのは「場所」なんだよね。もちろん営業してないと意味ないから開店時間も重要(それを確かめるための電話番号も重要)。もちろんどんなラーメンかも必要……だが、こういう本はとりあえず「うまい店ばかりを集めました」という建前なんだから、味は場所とか開店時間ほどには重要でないかもしれない。まあ同等でもいいけど。

 とにかく、場所が判らないとどうしようもない。ハシゴしたい場合などはなおさら。(^O^)

 で、以下の広域地図、どちらがあなたのニーズに合うだろうか?



『噂のラーメン』の地図


『激うまラーメン』の地図


 『噂のラーメン』の広域地図は、ほんとにこれだけしかない。指定されているページはこの地域の個別の店のデータが始まるページというだけ。
 あとは個別の記事のところに最寄りの駅を含んだ近所の地図があるのみ。

 これではちょっと●●方面に行くんだけど……という人には全く使えない。(個別記事中の地図の範囲内にいない限り)
 ハシゴしようという人も全然計画が立てられない。
 その店にピンポイントで行きたい人だけしか使えない。

 それに比べて、『激うまラーメン』の広域地図は、近畿圏をカバーした地図から京阪神、主要都市など、かなり段階を踏んだ詳細な地図で、その範囲内の店が一覧できるように工夫されている。(↑この地図だと、「P.20キタ」の部分はまた別ページに詳細地図がある)

 こうしてもらえるとある特定の駅から近いかどうかだけではなく、自分がいる地点からどのくらい足を伸ばせばいいとかまでよくわかる。
 ハシゴの計画も立てやすいし、使われているのがちゃんとした地図なので、これ1冊あれば電車はもちろん、クルマで店にたどり着くことも可能。(『噂のラーメン』に載ってる地図だけじゃちょっとムリ)
 このあたりはさすが昭文社は地図会社!と言うべきところですな。

 『噂のラーメン』だって、ちゃんと地図使用のライセンスをとれば同じことができるはずなんだよね。あるいは初回だけデザイナーにギャラをはずめば。しかしいつまでたってもそれをやらない。
 これによって使う側はかなり不便を強いられているはずだが、長年、改善の徴候なし。
(東京版の場合は結構詳しい地図が載っている。しかし東京の場合はクルマでの移動というのがそれほどメジャーではないように思うし、そうだとすればむしろ関西版の方の地図の方が詳細であるべきだと思う)

 あ、もちろん、個別の店の紹介ページのところにある地図は両者ともちゃんと使えるものですよ。どちらの本でも、最寄りの駅からちゃんと店にたどり着けるように書かれている。それは上記の個別記事の地図を見ていただけるとわかると思う。
 ただ、この地図はそれぞれの店の最寄りの駅までの範囲なので、結局、店→地図という検索(「この店に行こう。どうやって行くのかな? ……なるほど」という探し方)しかできないのだ。
 地図→店という探し方(「この近くにはどういう店があるかな? ……ああ、こういう店があるのね。だったらここにしよう」みたいな探し方)を全く考慮していないところが『噂のラーメン』の大きな欠点。

 そしてもう1つのポイント、「索引」。

 索引というのは「あの店、どこだったかな?」というような、店の名前が判ってる時に使うものだ。


やたら「ら」と「め」ばかりの索引
『噂のラーメン』索引


『激うまラーメン』索引


 伝わるかな? 『噂のラーメン』の索引のバカバカしさが。

 『噂のラーメン』の索引だと、例えば「作ノ作」は『さ』には載ってない。「満月」は『ま』には載ってない。「一撃亭」は『い』には載ってない。

 「作ノ作」は『か』、「満月」は『て』、「一撃亭」は『き』に載っている。

 なぜなら、これらの店の正式名称が、

「作ノ作」は「元祖豚骨ラーメン 作ノ作」、
「満月」は「手打らーめん 満月」、
「一撃亭」は「九州最強努豚骨 一撃亭」

 だからですよ。

 もうね、アホかと。(+_+)

 ここまで店名全部覚えてるヤツおるか?

 正式名称?になると「ラーメン」「麺」から始まる店がやたら多いので、索引も無意味に『ら』『め』から始まる店ばかりが並んでいる。

 これ、何か役に立つのか?

 ほんとに読者が便利になるように作ってるか?

 これも昔から改善の気配なし。

 結局、こういうデータ本というのは、膨大な数のデータの中から望みのデータを見つけること(つまり「検索」だ)が目的なんだからして、索引と地図は生命線とも言えるわけですよ。
 それなしでデータの新しさだの量だのを追及しても、あんまり意味がない。
(雑誌だと店の個性とかが紹介のキモになるのでちょっと違うんだけども)

 最初に私が『噂のラーメン』のことを「(データが)あればいいだろう」という態度だと書いたのはこういうこと。適当に新店の情報を入れておけば読者が喜ぶと思っているのかもしれん。しかしいくらデータを並べてもちゃんと検索できないと価値は半減以下だ。

 読者をナメるにも程がある。

 ……と、これがこの2冊を一流と三流とに明確に分けている点。

 両方使ってみて、わかった。

 もしもできたら、営業時間別の索引もあればありがたいかな。

 これを載せてるガイドブックはほとんどないけど、昔エルマガジン社が出していた『うまラーメン』という本には「深夜ラーメン」という索引がついていて、夜の閉店時間別の索引が掲載されていた。もちろん「飲んだ後のシメの1杯」という需要を見込んでの索引。(^O^)

 私の場合は、昼の仕込みの時間帯にラーメン屋を探すのにいつも苦労するので、夜に限らず営業時間による索引があったら非常に役に立つと思ってる。

 ……まあしんどいだろうけど。
 実際、自分のサイトでそれやるか?と言われたら、やりたくないもんねえ。(^^;

 でもね、やっぱり、あるとありがたい。(^O^)

 出版社の皆さん、ひとつ。m(_ _)m

 もう1つ、疑問というか、あがりそうな話なので書いておこう。

「本や雑誌で採り上げられてる店がうまい店か? マスコミに乗ったからってうまいとは限らんし、マスコミに乗ったことがなくてもうまい店はあるだろう」

 という疑問。

 これはその通りだ。

 もちろんデータ本信仰などしていないことは私の書いてるものを見てくれれば判っていただけると思う。

 ただし。

 これまでの経験からして、マスコミに乗ったことのない店でうまい店というのは本当に少ない。
 もちろん、ないわけじゃない。そういう店もある。
 確率の問題。

 行ったことのない店があったとして、どこにも採り上げられたことのない店と、採り上げられたことのある店、どちらが「アタリ」の確率が高いでしょう、って話で。
 しかも近年はインターネットという情報源もあるわけだから、それにまで乗らないような店は、正直言って一番最後でいいんですよ。残念ながらね。

 てなわけで、信仰ではなく合理的判断として、ガイドブックに一定の信用をおいておるのだということ。(もちろんチョウチン記事もたくさんあるけど、何軒か失敗すれば、そういうのも見分けられるようになる)
 

突然食いたくなったものリスト:

  • おにぎりせんべい

本日のBGM:
Pay Me /KUWATA BAND


 


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